普段、データ置き場のファイル管理サーバーとしてRaspberry Pi を使っています。OpenMediaVault5は非エンジニアでも設定だけで使える導入しやすいOSです。Raspberry Pi 3Bの頃に構築して、3B+、4へ変更してきました。オープンケースに入れて外付けHDDを2台接続しています。
今回、このサーバーに電源&ファン制御HATとしてX735という拡張基板を接続してみようと思います。
ファイルサーバーとRaspberry Pi
ご存じのように小さなRaspberry Piは、サイズなどで比較すれば高スペックな基板です。色々と仕組みは考えられるのですが、一番の魅力はやはり省電力ではないでしょうか。
そこで高スペックは活かさないながら、省電力を活かして常時稼働(24時間365日)のファイルサーバーとして一番使ってきています。「そもそもRaspberry Pi で何をするのか何ができるのか分からない人へのヒント」で触れているように音楽再生システムとして利用しているZeroWHであれば、年間消費電力は177円+α程度です。
容量が足りないから
単純に保存領域が足りないからというのもあります。メインのMacBookは128GBSSDだったこともあり容量が足りません。一番多く容量を食っていたのはこのラズパイダで使用する画像です。一定で削除するしかないのでかなり溜まります。でも保存場所が無い。
ファイルサーバーならば、手元にあるように使うことができます。必要な時に取り出せます。一見して外付けHDDをUSBで繋げば同じじゃないか?と思われますが、やはりサーバーであれば、iPhoneなどのスマホ、他に所持しているWindows10マシン、Mac mini、タブレットからもファイルにアクセスできるのが利点です。
ここに保存している音楽ファイルは、別に構築したRaspberry Piのオーディオシステムでそこを参照して再生させています。
X735のセットアップは3ステップ

今回のX735はフル構成(UPS、専用ケースなど)にもできる商品です。
私は用途として、温度によってファンの回転数を変えたいということ、メンテナンスでシャットダウンさせるのに安全なシャットダウンを直接Raspberry Piから行いたい、という2つ理由で専用ケースやUPS用のバッテリーなどは必要なかったです。
3ステップ
- X730HATを取り付けて指定されたスクリプトファイルをダウンロード&インストール
- 一旦電源を切った後にX730を装着して電源ケーブルをX730へ
- 再度、起動すれば完成
ダウンロード&インストール
先ずは通常通りにRaspberry Piを立ち上げます。今回はRaspberry Pi 4です。X735をGPIOに接続して起動します。
この時に通常通りに電源ケーブルはRaspberry Pi側です。
続いてOSを最新にしましょう(sudo apt update && sudo apt upgrade
)
スクリプトをダウンロードします。
wget https://raw.githubusercontent.com/geekworm-com/x730-script/master/x730.sh
実行権限の付与をします。
sudo chmod +x x730.sh
sudo bash -x x730.sh
bashrcファイルの最終行に書き込みます。
printf "%s\n" "alias x730off='sudo x730shutdown.sh'" >> ~/.bashrc
電源を落とします。
sudo shutdown -h now
電源ケーブルの差し直し
Raspberry Pi側の電源コネクタからX735のType-Cに電源ケーブルを挿し直します。

この状態でX735にある青く丸いPower スイッチボタン、またはNewLife NewDesingさんの商品には外付けのスイッチ(青く光るメタルの!)がありますので、それを繋げて押しても同じです。すると、電源が入り起動します。

このPower スイッチは一回だけ押しで、リブート(再起動)します。2-3秒押すとシャットダウンします。X735とRaspberry Piへの給電も止まります。
この辺はNewLife NewDesingさんが動画をアップしてくれています。百聞は一見に如かず。

ジャンパーピンというのがありまして、小さな部品でショートさせることで機能を変えられるとのことですが、今回は何もショートさせないAUTOの設定でOKです。いやむしろ、それで行ってください。つまり、ジャンパーピンは何もしなくてOKです。(この状態をメーカーサイトでオープンと呼んでいます)
その他
ちなみに冷却ファン用にドライバーや追加設定は必要ありません。
また、コマンドでシャットダウンする場合は x730offです。先ほどの.bashrcに書きましたね。
冷却ファンは基板上にLEDで低速(Low)か高速(Hight)を表示してくれています。自動で変わります。
ボード温度≤34C:ファンが低速で動作
ボード温度≥34C:中速で動作
ボード温度≥45C:ファンはフルスピードで動作
これでもしもサーバーが熱くなっても適切に温度が下げられると思います。
何よりもメンテナンスの際にPCなど必要なくシャットダウンできるのも助かります。
X735電源&ファン制御HATの販売情報
なかなかにマニアックなHATなので見つけたら購入してください。型番を確認してくださいね。
おまけ
更に冷えるようにアーマーケース(ゴールド)と組み合わせました。
これにはGPIOが届かないため、ブースターと呼ばれるGPIOの端子を増設させます。

少し不格好にはなりますけど効果は大きいです。

以上、常時稼働にはおすすめな冷却ファン&電源管理HAT、X735でした。