コンピューターの新しいモデルが速くなるのは当然のお話です。前作Pi Zero Wは、2017年に発売された4年以上前のモデルだからです。
しかし、よく分からないのが動作クロック周波数は3Bの1.2GHzに対して1.0GHzに抑えられています。それなのに3Bよりも各種スコアがすべて上なんです。
それに型番からみても3Bと変わらないCPUチップセットなのに、3Bより速いとはコレ如何に?

シャアかっ
自分でも疑問が多かったので調べてみました。
CPUがカスタマイズされている
前提として、動作クロック数だけではパソコンの速さは単純に比較できません。まぁ、これも当たり前の話です。
今回はインターフェイス類がほぼそのままでサイズも一緒です。これまでのケースも流用できるのは嬉しいことなんですけどね。
では、今回のRaspberry Pi Zero2 Wと従来のZeroと異なる点は何でしょう。
CPUだけを3B、Zero W、Zero2 Wと比べてみます。
Zero2 W | Zero W | 3B | |
CPUチップ | RP3A0 SiP (Broadcom BCM2710A1) | Broadcom BCM2835 | Broadcom BCM2837 |
CPUコア数 | 4コア | 1コア | 4コア |
動作クロック周波数 | 1.0GHz | 700MHz | 1.2GHz |
CPUアーキテクチャ | ARM v8 64-bit ARM Cortex-A | ARMv6 32bit ARM11 | ARM v8 64-bit ARM Cortex-A |
一見すると、3Bとは同じように見えます。どちらも64bitですし、クアッドコアな点も同じです。クロック周波数が僅かに遅いだけのように写ります。
それならZero Wよりは速くても、3Bよりは遅くなっても当然のように思えますね。
でも、実際は更に違う。
Zero Wよりも2倍〜3倍も速く、最大で5倍くらい違います。しかも3Bよりも性能スコアがすべてにおいて高いのです。
CPUの表記が異なる
Raspberry Pi Zero 2Wで使用されるCPUのBCM2710A1はCPU表面の印字にあるように、RP3A0 SiPとなります。

Raspberry Pi RP3A0は、Broadcom BCM2710A1(Raspberry Pi3で使用されるBroadcomBCM2837チップ内にパッケージ化されたシリコンダイ)と512 MBのDRAMで構成される最初のシステムインパッケージ(SiP)です。
引用元:https://beta.raspberrypi.org/documentation/computers/processors.html
自前で設計したので、Broadcomと表記されていません。まるでApple社みたいですね。だからRaspberry Pi のロゴが入れられるというわけです。
3BはしっかりとBroadcomと表記されています。

サンドイッチ状態
簡単に言えば、2重になっています。
画像引用元:https://www.raspberrypi.com/news/new-raspberry-pi-zero-2-w-2/
素人にはよく理解できませんが、スゴイ技術革新なんですね。
だから私は、元々の3BのCPUダイの上に、重ねることで動作アップしているという想像をしました。
※間違っていたり誤解を与える表現であれば修正します。
3B系をカスタマイズしたCPUだから速い
3Bと同じチップかと思いましたが、どうやら違ったので納得です。
クロックアップ
公式からも冷却がきちんとされていれば、1.2GHzまではクロックアップできると記載がありました。potentiallyとありますから、イケるかも知れないよーレベルとはいえ大丈夫そうです。
The RP3A0 is a Quad-core 64-bit Arm Cortex A53 CPU clocked at 1 GHz, although with a heat sink or other cooling solution in place, the chip can be be potentially overclocked to 1.2 GHz.
引用元:https://beta.raspberrypi.org/documentation/computers/processors.html
海外でもクロックアップしている動画が見受けられます。従来の性能との比較で5倍というのは、クロックアップしている場合があります。
ただ、CPU温度がかなり厳しいみたいです。クロックアップは他のモデルよりも冷却には気をつけた方が良さそうです。
メモリー512MB
本来はメモリーも512MB以上にしたかったようですが、これまでと同じZeroのサイズを優先したり、CPUの速度を優先することで不可能になったと公式サイトにはありました。
このメモリー量については、ややバランスが悪いなと素人目としても感じます。手元にない状態ではなんとも言えないものの、海外の動画を観ているとかなりキビキビと動いている印象です。
たとえメモリーが512MBでも、なるべくネックにならないような最適化が施されているように感じました。
逆にいえば、以前はCPUの速度がネックだったかも知れません。むしろバランスが良くなった?
3系(3A+、3B+、3B)の代替
日本ではあまりパッとしなかった3A+が、今回のRaspberry Pi Zero2 Wに良く似ています。
同じように3BのCPUにメモリーは512MBです。3A+はWi-Fiが5GHzをサポートしている点が異なります。
電源も5V2.5Aで一緒になります。
サイズは3A+よりも更に半分近くになることから、ロボットやAIなどの組み込み系に使う場合に、同じようなスペックで小さくなる分だけ重宝しそうです。
価格も安くなりますから、複数を同時に稼働させることも一層簡単になるでしょう。
こうなると、インターフェイス類は少ない&異なるとはいえ、Raspberry Pi 4Bの次に活用できるモデルになりそうです。
日本ではまだ技適通過前
Raspberry Pi Zero2 Wは、リリース直後なので日本では未発売です。技適を通過していないからです。
生産数は、2021年内は20万台、2022年前半の半年間で25万台の見込みとのことです。既に発売されている海外のサイトでは、リリース後すぐに在庫切れに陥っています。
仮に日本の技適を通過するのが早くても、気軽に購入できるようになるのは、恐らく2022年の春頃ではないでしょうか。
追記:技適通過は2022年3月23日
2022/04/29現在、Raspberry Pi Zero2 Wは技適を通過していました。

技適を取得できているのなら、順次、日本でも購入できる運びでしょう。
いや、もっと早く買えるようになると期待したいですね。

細かい点はエンジニアではありませんから理解できず言及できません。でも、なんとなくそれなら速いのも頷けますよね。
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