Raspberry Pi に興味が沸いたものの、自分はパソコンの知識も無いし・・・、ましてやプログラミングなんて・・・、コマンド入力? そんなことしたことない・・・、そういった人は本当に多いですね。
興味が無いならともかく、興味はある人はRaspberry Pi に是非チャレンジしてみてはいかがでしょう。
今回はRaspberry Pi に素朴な疑問をお持ちの皆様に向けた記事です。
なぜ?流行ったRaspberry Pi
Raspberry Piの本来の背景は、2006年頃、コンピュータサイエンスを志望する学生の減少に危機感覚えたのがきっかけだそうです。これは創業者のアプトン氏がケンブリッジ大学の先生をしていたので、将来的に仕事が無くなる危機感があったからでしょうか?
理念として、広く安価にコンピュータサイエンスに触れて貰おうというものだったようですね。そのため発売された2011年当時は、そんなに売れないと見込んでいたようです。
(代表のエベン・アプトン氏の来日インタビューにて)
実際に世界で売れてみると、意外と産業用に使われることが多かったのも予測されていないようでした。
購入した人はオートメションのため産業用汎用機の代替であったり、テストサーバのように本格的な仕組みの前段階での利用、または、ユニバーサルスタジオのような遊園地のモニター制御だったり、意外と広い使われ方をされてきました。
2016年くらいから教育用に広く認知されてきました。
Raspberry Pi は「お手軽」という言葉がピッタリです!
単機能にすればパワフルで、多機能もイケる。運用するにも省電力でランニングコストはあまりかかりません。そして本体自体が安価なため、思ったことを簡単に実行できます。試作品として利用するには相当に敷居が低いと思います。
- 単機能&多機能
- 省電力(コスト少)
- 比較的に簡単
安価で簡単
流行る理由として、安価で簡単だということ。
個人的にはこのように思っています。
手軽という言葉が適当でしょうか。
——流行った理由は?
- コンピュータの部類では格安
- 基本性能を抑えた造り
- これまでのコンピュータ基板と同じ構造
- 小さい!(組み込める)
- HDMI接続が標準装備
- 周辺機器は流用できる規格
一頃前までは、小さい端末で何かしたいと思ったら、どうしてもラップトップPC程度しかありませんでした。
それも余計な機能が盛りだくさんで、薄いといってもそれなりの面積も取り、やはり高価で電気代もそれなりにかかります。
単機能に使うのには勿体ないというのもあるでしょう。中古をあてがうとなると、ドライバソフトの問題やCPUやHDDの性能の問題など新たに面倒な対応が出てきます。それに24時間運用であれば故障の確率も上がります。

こういったコンピュータで単機能を制御する物が無かった背景があったのでしょう。安価で手軽に導入できるのは、ユーザーの敷居を下げ普及する要因だと思います。
HDMI端子を標準装備している
一番の手軽さにHDMI端子が付いている点です。
これはこれまでコンピューターは専用のモニターが必要でした。古くはブラウン管、そして液晶、新しい機種にはHDMI端子が付き始めたものの、当時のテレビでは解像度が低すぎて文字が読めませんでした。
液晶テレビがフルHD、そして高解像度になり、モニターほどではないにしろ、コンピューターを繋げて実用的になりました。

そのHDMI端子が標準、いや、それが基本の表示方法というのが魅力的なんです。もちろん現在はモニターもHDMI接続が一般的です。
特にデスクトップ環境で使うことがコンピューターには求められてきましたが、Raspberry Pi は表示専用に使うことで、デジタルサイネージやタッチパネルにプログラムを表示するという点が画期的です。
10年くらい前までは、この表示することにネックが多かったと思っています。
Linux系が流行っていた
それに比較的に簡単なPythonプログラムなどオープンソースのLinux環境が、Raspberry Pi 登場の前に下地ができていたことが大きいと個人的には思っています。
ちょうど2004年後半にUbuntuがリリースされています。
私もそれからしばらくしてUbuntuをメインにして5年くらい使っていました。その時にニュースで知ったRaspberry Pi がこんなに広まるとは思っていませんでしたね。(この2004年から自宅ではWindowsを辞めましたね)
UbuntuはLinuxで初めてフル機能のデスクトップ環境を備えていたものの、デスクトップマシン中心でした。これまでのPC環境と何ら変わらなかった。
そしてRaspberry Pi はボード本体も過不足無い機能を有し、安価で拡張性もある(HAT系、GPIO)というハード面に目が行きがちです。
ソフトウェアもUbuntuと同じDebian系でまとめてきました。DebianはLinuxでは王道のディストリビューションです。

Ubuntuはリッチになり過ぎましたね。
AIもIot(Internet of things)という言葉も、3Dプリンターの登場もありました。Raspberry Piの前にArduino(アルデュイーノ)がありましたし、決してRaspberry Pi だけでは無いのですけど、一番簡単だったのかも知れません。
何ができるの?
Raspberry Pi の用途は大きく2つに分かれると思います。
一つは、電子工作の用途です。
GPIOというインターフェイスがありますから、そこからLEDランプを制御したり、センサー類を取り付けて計測したり、拡張基板にモーターを付けてロボット工作のようなことも可能です。
それらを全て使って自動で何かを行わせることも可能です。
- 学習
- 計測
- 制御
- 組み込み
もう一つはコンピュータ用途、普段使うPCの単機能版として利用することです。
家庭内サーバーにしたり、ミュージックボックスにしたり、定点観測のカメラや監視カメラにしたり、これまでもパソコンで出来たことではありますけれど、より小さく余計な機能のないRaspberry Pi に置き換えて運用するやり方です。
- 簡易サーバー
- シンクライアント
- デスクトップ環境
私はもっぱらこの単機能版のPCとしての魅力を感じています。消費電力が少ないのは本当に有利です。
何をしたいのか具体的に無くても、何を置き換えたいか、工作として世にない自作物にするか、トータルで学習のためにしたいか、などに利用したいですね。
パソコンとスマホの中間
特に思うのがパソコンより非力でも、スマホよりも制御出来る部分が多いという点です。
最近はスマホで事足りることが多くなりました。(or タブレット端末)敢えてパソコンを使わなくても良くなりました。若い人達はスマホからこういったインターネットなどの技術に触れる人が多いためか、パソコンが使えない人が増えましたね。
Raspberry Pi は、スマホみたいに各社の制御で構築されていません。自由度が高い端末です。かといって、パソコンほど何でも出来るわけではありません。性能が非力という点と、市販されているソフトウェア市場がほとんどないからです。
ただ、Linuxの世界は世界中で誰でも利用出来るオープンソースのアプリケーションがたくさんあります。
特にRaspberry Pi OSの元であるDebianというディストリビューションは標準的なOSです。デスクトップ環境もイケるし、かといって不安定でもない。非常にバランスが良いのです。(古くさいですけど)
プログラム言語PythonであればRaspberry Pi は容易に扱えます。確かに教育用としても無難だと思います。安定しているのは環境が激変しないという点もあるからです。(逆に新しい機能が実装されにくい??)
また、プログラム言語のPythonは、世界で最も利用されているプログラム言語の1つです。他のプログラム言語に比べて習得し易くRaspberry Pi では環境が整っています。
基板自体の性能や扱いやすさを補うのにスマホを連携させたり、別のパソコンやWEBサービスとの連携でカバーできるため、これらを組み合わせて運用するのが分かりやすいでしょう。
具体的には?
では、具体的に何をさせて何ができるのか? 例として、このブログ「ラズパイダ」で実際に製作した記事でご紹介します。
1.スマホで制御するミュージックサーバ

これは小さいRaspberry Pi Zero Wを使用して、音楽に合わせてLEDがレベルメーターの役割を果たすミュージックボックスとして製作しました。
Raspberry Pi Zero系でも音楽系ならデータも小さいので容易に扱えます。また、pHATという拡張基板を用いると、見た目にも楽しい物が作成できますね。
その後はSpotifyを導入して実用的ですよ!

microSDカードに入れた音楽ファイルを再生するだけならWi-Fi環境は必要ありません。Raspberry Pi Zero Wを利用しているので、モバイルバッテリーで駆動します。
屋外で鳴らすこともできます。
自宅内ならWi-Fi環境があるので、逆にmicroSDカードに音楽ファイルを入れる必要はありません。他のNASサーバー(これもRaspberry Pi )に保存してあるファイルを再生させるだけです。
意外と知られていないのは、Wi-Fiは受信も送信も出来る点です。送信する側にすればスマホと接続できます。それで制御すればリモコンになりますよ。
Wi-Fiとスマホの連携などで使いました。

自分で構築して音が鳴るだけで感動するものです!
2.動画再生のためのメディアサーバー

LibreELECというOSがあります。これを利用して家庭内のメディアサーバーが簡単に構築できます。
OSMCも同じですね。プラグインによってAmazonプライムビデオも導入できます。
バージョンの制限はあるものの地デジの録画サーバーもイケました。
3.レトロゲームで遊ぶ Retropie

RetroPieというOSでレトロゲームのエミュレータになります。これはゲームROMの取得が日本では法律的にアウトになるので、海外を中心に流行っています。
Recalboxなら最初からフリーのゲームソフトが入っているので、そちらでお楽しみください。

4.デジタル写真立て

格安のディスプレイを使ってオリジナルのデジタル写真立て(スライドショー)を製作しました。単機能で消費電力も食わず、24時間の運用にも耐えます。お気に入りの写真を見返すのにパソコンを起動するのも仰々しいので作りました。
スマホとは違い、インテリアとして置いておくのに安い基板とディスプレイなら惜しくはありませんね。
制作費としては市販のスライドショー端末が流行った頃より多少高くなります。しかし、自分で制御できるのは魅力的です。
Wi-Fiを使ったSSH接続で写真の交換も楽です。microSDカードを取り外すことはありません。
また、記事では触れていませんけど、動画もOKです。ミニ動画プレイヤーとしてもどうでしょうか。
まだまだたくさんのことができます。
Raspberry Pi は電子工作の部品として利用したり、PCの代替機のように利用したりできます。OSが載る汎用性の高い基板です。
非エンジニアでも楽しめるレベル
Raspberry Pi はそんなに難しいものではありません。苦手な人も多いと思いますが、プログラムを書かなくてはならなくてもコピペで充分なケースが多いです。
何度か試していると、同じようなことをしていることに気が付くと思います。
- OSのインストール
- ネットワークの設定
- 使用アプリケーションのインストールと設定
- 設定ファイル(.conf等)の追記や修正
- sh(シェルスクリプト)の新規作成
大まかに言えば、こういったことをして、それで済んでしまうことが多いハズです。
「習うより慣れろ」で乗り越えられます。それに、OSとして用意されている仕組みなら、microSDカードに書き込んだ後は設定だけで済みます。
分からないことに出会ったら、大抵の仕組みは先駆者が居ますので、検索して調べれば答えがあることがほとんどです。
自分の環境が同じかどうかという点は気をつけましょう。同じバージョンなのかも重要です。ここが違うと、そのままコピペしても上手くできません。
馴染みの無いLinux環境とコマンドでの作業は、はじめは大変ですけどスグに慣れますよ!非エンジニアの私でも楽しめていますから大丈夫です。
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