最近のデバイスに使うケーブルに、USB Type-Cの製品が多くなってきました。確かに利点が多いので、独自規格のケーブルより歓迎しています。
Raspberry Pi も4Bから電源にUSB Type-Cが採用されています。こちらはあくまでも電源用途です。
ただ、このUSB Type-Cがカオス状態になっていて、データ転送できるのか、映像の転送ができるのか、見た目ではほぼ分かりません。記載されているバージョン3.0、3.1、3.2、更に世代としてのGen1/2など本当によく分かりません。
購入した人で、これ電源供給だけじゃん、とガッカリされた経験もあるでしょう。
昨年から気になっていた「BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2」を使って調べてみました。
知りたかったのはType−Cの映像出力
今回、USBケーブルチェッカー2で調べるのは、主に映像も出力できるケーブルかどうかという点です。用語として色々とありまして、どの規格でどこまで対応しているかは調べれば分かるのですが、これが難しい。
- E-Marker
- USB PD (PowerDelivery)
- 転送速度5/10G/20Gbps等
- USB-IF正規認証品
特に一見して分からないのが、モニターにケーブル1本で映像も音も電源も供給できるのかどうか。
素人としては、販売価格が一番分かりやすい。結構します。あと、ケーブルの太さかな。基本的に主に3つの機能を有するので、それなりに太くなります。電源ケーブルが太いのと同じで、細いのは逆に怖い。
今回検証したのは1,000円〜2,200円で購入したケーブルでUSB Type-C のオスとオスです。
合わせて5本を検証してみました。
結論から言うと、購入したUSB Type-Cケーブルで問題があったケーブルはありませんでした。事前にこれならと選んで購入してはいましたが一安心です。
ついでに家に転がっていたケーブルも調べてみたので参考にしてください。
BitTradeOne ADUSBCIM USB CABLE CHECKER 2
BitTradeOne(ビット・トレード・ワン)は、Raspberry Pi用でもお馴染みなメーカーです。ラズパイマガジンと連動した企画で知りました。当時Twitterでもリツイートなどしてくれました。その節はどうも。
私の苦手とする電子工作系ですね。


今回のUSBケーブルチェッカー2は組み立て済み製品として販売されています。マイプロダクトサービスと呼ばれ、アイディアから製品化もできるサービスのようですね。

簡易的とはいえ、検証用としてテストできる優れものです。
精度に関してはプロ用ではありませんから、参考程度と見た方が良いでしょう。(精度は±15%)
電子工作に疎い私などが、あくまで個人利用で検証してみたい場合はうってつけな製品です。
一般に販売されている USB ケーブル・アダプタはコネクタ形状こそ規格として揃えられているものの、内部の結線や抵抗値などは千差万別。そんな混沌を極める USB 界に差し込む一筋の光が USB CABLE CHECKER2。
引用元:https://bit-trade-one.co.jp/adusbcim/
普段から充電やデータ転送で使用されている microB や TypeC 規格 USB ケーブルの抵抗値や対応規格など、確認できない情報を検証できます。



テストの結果
USBケーブルチェッカー2に表示される読み方について、詳細は公式ページでご確認いただくとして、順番にみていきます。
写真の赤枠で囲んだ部分でケーブルが何に対応しているのか判別できます。
下段の4つが点灯していればUSB2.0、上段の11個が点灯していればUSB3.2(3.1 Gen1以上)に対応しているとなります。

次の赤枠の場所(SUB1/2)が点灯してれば、映像出力ができることが分かります。
Side Band Use(SUB)としてUSBデータ通信以外のデータ(音声や映像等)をやり取りする際に使用するワイヤです。
https://github.com/bit-trade-one/ADUSBCIM-USBCableChecker2

最初にお伝えしたように、購入したケーブルはすべてUSB3.1または3.2に対応していて映像出力も可能な製品でした。
抵抗値(Ω)は文系出身としてあまり理解できていませんが、低い値の方が良いとのことです。また、この値はブレるみたいです。しばらく観ていると落ち着いた数字になります。計測したどのケーブルも同じ動きでした。
購入したケーブルは、ケーブル自体の触感も含めてレポートしています。
Amazonベーシック
先ずはお手頃価格で有名なAmazonベーシックの製品です。唯一白いケーブルにしました。
ケーブルの太さは必要なので、太いことは問題ないのですが、比較的に皮膜が厚いのか一番太く感じます。ただ、ソフト系なので堅さはそれほどありません。中くらいかな。長さは0.9mです。

- USB 3.1 Gen1
- データ転送速度は最大5Gbps
- 最大5V、3Aの出力
- USB-IF認証取得
Anker製
有名なAnker製は説明にもUSB-IF認証取得、PD、スマホやMacに対応などが記載されていて選びやすかったです。
Ankerロゴ入りタイラップが付いていて好感が持てます。価格は一番高いので当然かも知れません。
ケーブルの太さはAmazonベーシックより細く、同じソフト系の皮膜です。ただ、Amazonより僅かに堅いかと思います。0.9mです。


- USB 3.1 Gen2
- データ転送速度は最大10Gbps
- 最大100W(5A)出力(20V、5A)
- USB-IF認証取得
UGREEN製
気になっていたL字タイプです。素人的にもL字型は耐久性が難しいのではないと思っています。中身は直角方向へ曲げられているためです。
価格は中くらいで安くも高くもない部類です。UGREENは広東省深センに拠点を置く中国の家電ブランドだそうです。
ケーブルはナイロン編みタイプで、かなり柔らかく曲げられます。太さは今回の中では一番細い。
商品説明にも映像出力と記載されている点は好感が持てます。(なかなか書いていない)1mです。


- USB 3.1 Gen1
- データ転送速度は最大5Gbps
- 最大60W出力(20V/3A)
Sisyphy Technology製
聞いたことの無いSisyphy Technologyはご多分に漏れず中国北京とありました。詳しくは分かりません。気になっていたL字型ということで、更に心配です。
価格がこの中で一番安く心配してしまいます。やはり映像出力も謳っています。USB3.2Gen2を怪しまれる価格です。
ロゴなどの記載は無く、一丁前にタイラップも付いています。
ケーブルの太さは、UGREEN製と同等で、同じくナイロン編みタイプです。ただ、硬い編み込みになっています。ある意味で理想的な堅さです。


- USB 3.2 Gen2
- データ転送速度は最大20Gbps
- 最大100W出力(20V/5A)
Basesailor製
ちょっと変則的に延長タイプも選んでみました。
こちらも会社がよく分からないBasesailorブランドの物です。やはり中国深センです。
この形なら、ノートパソコンなどで重宝しそうです。ただ、有名なメーカーが販売していない点からも、このタイプは難しいのだと想像されます。(色んな意味で)
L字型で更に延長タイプ、加えてナイロン編みタイプで短い0.2mです。驚くのは2本入りということ。価格だけなら中くらいですが、1本辺りなら先程のSisyphy Technology製と同じような価格です。

延長対応なので、別にUSB Type-C オス-オスは必要になります。
計測には、延長用に先程のAnker製を使いました。なので、実際はどうなのか分かりません。

この販売価格で計測上はUSB-C 3.1 Gen2に対応しているのがスゴイ。ただ、抵抗値は高め。
- USB 3.1 Gen2
- データ転送速度は最大10Gbps
- 最大出力は記載なし
電源用のUSB Type-A to Type-C
比較のためにも、手持ちにあった無メーカーのUSB A-Cのケーブルも計測しました。
電源用に使っているので構いませんが、結果は電源とデータ転送となっています。抵抗値が249mΩとありますが許容範囲みたいです。

電源用で使っていたUSB Type-C オス-オス
こちらもRaspberry Piの電源用として使っていたType-Cのケーブルです。
これは意外に、USB3.1 Gen1のようです。6つ点灯していませんから、3.2でもなく、SUB1/2が点灯していないことから、映像の出力はできないタイプです。

これ、電源に使うのは勿体ないなー。データ転送もイケるから、別の用途にしよう。
USB A to microUSB
恐らくRaspberry Pi 3Bで使っていたUSB AからmicroUSBのケーブルです。電源用に使っていたものです。

2つしか点灯していませんから、これは電源だけです。データ転送もできないタイプです。
抵抗値が448mΩというのは大きい値かと思いますが、1100mΩを超えるとHightと表示されるそうなので、電源だけでなら及第点かなと思います。(どうなんだろう?)
計測値まとめ

5つの製品の測定結果を表にしてみました。
製品名 | 計測した抵抗値 | USB規格 | ケーブル素材 |
---|---|---|---|
Amazonベーシック オススメ! | 138mΩ | USB-C 3.1 Gen1 | TPE素材 |
Anker | 142mΩ | USB-C 3.1 Gen2 | TPE素材 |
UGREEN(L字) | 158mΩ | USB-C 3.1 Gen1 | ナイロン編み |
Sisyphy Technology(L字) | 178mΩ | USB-C 3.2 Gen2 | ナイロン編み |
Basesailor(L字延長) | 175mΩ | USB-C 3.1 Gen2 | ナイロン編み |
計測した抵抗値だけでいえば、Amazonベーシックが断トツでした。
L字型であったりL字で延長などがあるので、一律に比べられません。特にL字の延長は、Anker製を延長してみましたので、抵抗値がどうなのかよく分かりません。(Anker使っているのにこの数値とも言えます。)ケーブルの長さも影響するでしょう。
USB-C 3.2 Gen2や3.1 Gen2という表記で安価な製品は少し気をつけた方が良いと思います。
今回は耐久性は無視しています。映像出力が出来ている状態なので、一応すべてUSB 3.1 Gen1以上と言えます。転送速度は5Gbps以上は確保していると窺えます。
コスパと耐久性
今回の5製品では、抵抗値と販売価格から読み取ると、コストパフォーマンスが良いのはAmazonベーシックのUSB Type-Cでした。
Anker製は価格が高い割に、抵抗値はAmazonベーシック以下なのが意外でしたね。
また、コネクタの形状がL字型のものは、大手が販売していないだけに心配でしたが、一応使えました。L字型と中国メーカーは、抵抗値は高めな点に何かあるのでしょう。電気系に詳しくないのでこの差がどうなのかよく分かりません。
1つ言えるのは、耐久性が全く分からないことです。
物理的にケーブルの破損はどの程度なのか、電子的な意味でも耐久性は分かりません。すべての製品にE-Makerチップが搭載されていると言っても、この中身のIDが正しいかも疑問です。
失敗しても良いくらいの価格であれば、冒険してみても良いでしょう。
価格帯が概ね1,000円〜2,200円の中でいうと、(性能が確かなら)L字型のUGREEN製は健闘しているかも知れません。
いつ壊れるかは別にして、延長タイプでかつL字型であったBasesailorブランドは使い勝手は良さそうに感じます。(規格に沿った性能なら)
このUSBケーブルチェッカー2は、ホント、簡単に調べられて面白い。
特に電気系が弱い私には助かる上に、とても興味深い製品です。片っ端から調べたくなりますね。
映像出力もテスト済み
全て映像出力できるのかテストもしています。
モバイルモニターとMacを検証したUSB Type-Cの1本で繋ぎ、すべて映像出力できました。※4Kはモニター側に接続端子が無いので未検証
もしも4Kモニターに繋ぐなら、モニターメーカー同梱のケーブルをオススメします。またはUSB Type-C 3.2 Gen 1以上が必要でしょう。


ちなみに、4KモニターのHDMI -> USB Type-Cへ変換するアダプターの中で、Anker製は半年以上を問題なく使えています。あまり同じ使い方は無いかも知れませんが探している人は候補としてどうぞ。
複雑なUSB Type-C
USB Type-Cは何に使用したいのかで選ぶケーブルと規格が変わります。
USB-C 3.1 Gen1以上であれば映像も出力できます。 5Gbpsの転送速度です。USB-C 3.2 Gen2の表記なら、どの4Kモニターも問題ないでしょう。
それに、USB Type-C 3.2が登場してからは、3.1 Gen2と3.2が同じような意味になります。(3.1 Gen1=3.0と同義)
更にその上のUSB 4.0 Type-Cも販売されています。こちらは40GBbpsで通信できます。
何でも賄えるUSB-IFの正規認証品であれば、映像出力は安心です。ただ、認証取得のコスト分だけ高くなりがちなのと、正規認証マークが無くても販売できるので、そこだけでも判断できません。
今回のテストでは、映像出力は使えたので、少なくても製品表示に偽りはなしで、チェッカーもUSB3.1 Gen1以上(≒3.2)を指す全点灯でした。
USBケーブルチェッカー2についてはメーカーのページで詳細をご確認ください。