RaspberryPiもバージョンを重ねてとうとう4になりました。基本性能と機能のトータルスペックとしては昔のPCに劣らない程に高スペックです。とはいえ、シングルボードコンピュータには変わりはなく、これまで同様に得意とする範囲は既存のPCには叶わないのではないか? そう思いますよね。
この記事ではUbuntu、それも軽量で使い勝手が良いディストリビューションのUbuntuMATEをインストールしています。ご参考にしてください。
\たくさんのアクセスありがとうございます/
皆さん、ラズパイ4をデスクトップPCで使いたい人が多いようですね!
※この記事はServer版です。その後Ubuntu DesktopもRaspberry Piへ対応し、MATEも対応しました。古い方法ということをご理解ください。
Ubuntuが正式にRaspberryPi4をサポート
今回、Ubuntuの大元であるCanonicalが以下のように表明しました。
「Roadmap for Ubuntu official support for the Raspberry Pi 4」と題して正式にサポートが表明されたため、以前にUbuntuをメインで使っていたファンとして試してみました。
Ubuntu Serverの19.10リリースで、Canonical はRaspberry Pi 4の公式サポートを発表しました。
https://ubuntu.com
...Canonicalは、既存および今後のPiボードでUbuntu ServerとUbuntu Coreの両方を有効にします。
ただ、厳密に言うとサポートされるのはUbuntuデスクトップではなくUbuntu Serverなんです。(※UbuntuDesktopも追加されました!)
RaspberryPi4をサポートするUbuntu
- Ubuntu Server
- Ubuntu Core
- Ubuntu Desktopも追加されました!(2020年10月〜)
サーバー版って基本はサーバーで使う機能に特化しているわけなので、GUIは要りませんよね。しかし、そのUbuntu Serverでデスクトップ環境を利用する形式で、ubuntuをデスクトップPCみたいに使用することが可能というわけです。
この辺はLinuxに詳しく無いと分かりづらいでしょう。
WindowsだってWindowsServerというサーバー版があります。サーバーですがGUI、つまりデスクトップ環境もあります。Ubuntuもこの形と同じに考えてください。

以前、UbuntuServerはラズパイ4にインストールしてみています。この時のデスクトップ環境はLubuntu-desktopをインストールしました。Lubuntuは軽量で有名です。
今回はそこの部分をUbuntuMATEにしてみます。
サーバー版と、いわゆる通常版との違いや使い勝手、さらには何故、LubuntuではなくてMATEなのか、本家Ubuntuとの違いなどについて疑問に思われるでしょう。
使ってもらえば納得すると思います。サーバーと名が付いても、使い勝手はデスクトップ版のUbuntuと同等です。コアな部分がサーバー版だということで、見た目にも分かりません。初心者野方はあまり気にされなくて良いでしょう。
また、UbuntuMATEについては、本家Ubuntuデスクトップ並のリッチなUIや機能があるのに、Lubuntuに近いくらい低スペックでも動作するのという種類です。
もっと乱暴に言ってしまえば、好みだから!:)
UbuntuMATEというのはディストリビューションで、種類違いです。更にそれをカスタマイズした場合はフレーバーなどと言われます。基本の部分はUbuntuと変わりはありません。
UbuntuなどLinuxの場合、例えるなら骨格がコアで肉付きがディストリビューションです。更にお化粧したのはフレーバーとなります。それでも中身は同じで外見や特技が異なる人と同じです。
UbuntuMATEのインストール方法
インストールについては前回の記事と一部被ります。そちらを既に読んでいたらデスクトップ環境のインストール部分をUbuntuMATEにして進めることとほぼ同じです。
「Raspberry Pi 4とUbuntu Server+デスクトップのインストール」も合わせてお読みいただきその後にMATEをインストールしてください。
インストール手順
- Ubuntu Serverをダウンロード(64bit版RaspberryPi4用 )
- microSDカードへ書き込む
USBのバグ回避を施す- ログイン後にデスクトップ環境のUbuntu MATEをインストール
デスクトップ環境のインストールで今回はUbuntuMATEを入れます。USBのバグ回避がいずれ修正される予定です。それまではバグ回避の手順を踏む点が前回と異なります。
追記 12/9修正版のUbuntuServer19.10がリリースされています。
ダウンロード
ダウンロードするイメージファイルは「ubuntu-19.10-preinstalled-server-arm64+raspi3.img.xz」

ダウンロード先:Install Ubuntu Server on a Raspberry Pi 2, 3 or 4
USB問題のバグ回避
(12/9以降は回避手順は必要無くなりました。USBポート制限はなくなりました。)
balenaEtcherなどでmicroSDカードへ書き込みます。
まだ修正バージョンアップ前でバグが未対応の間は何も対応しないとUSBポートが一切使用できないバグが存在しています。
追記 12/9修正版のUbuntuServer19.10がリリースされています。回避手順は必要なくなりました。
microSDカードへの書き込みが終わったら、microSDカード内のファイル「/boot/firmware/usercfg.txt」を編集(追記)して、次のようにメモリーを3GBに制限することでUSBポートを使用できます。

MacOSの画面です。usercfg.txtはアルファベット順なら最後の方です。

total_mem = 3072
# Enable audio (loads snd_bcm2835)
dtparam=audio=on
dtparam=audio=on
も一緒に追記します。
これは内蔵音源を有効にする設定です。デフォルトで音が出ないのか、修正されているか未確認ですが、つい先日まで推奨されていたようなので合わせて追記しました。
ログイン
microSDカードをRaspberry Pi 4に差し起動します。
この時、有線LANケーブルを繋げて作業します。Wi-Fiを設定する前ですので必要です。
しばらく待つとログインを促すプロンプトになります。
loginプロンプトが出たら初期のユーザーとパスワードを入れます。
(ちょいと時間が掛かります)
login: ubuntu / password:ubuntu
するとパスワードの変更を求められます。
current password: ubuntu new password: 任意 retype password: 任意をもう一度 これでズラズラと文字が出て完了です。
アップデート
先ずはアップデートとアップグレードをしておきます。
sudo apt update
sudo apt upgrade
アップデートとアップグレードが終わったら、一旦再起動してください。
sudo reboot
UbuntuMATEのデスクトップ環境をインストール
ここでMATEをインストールします。
sudo apt install ubuntu-mate-desktop
私の場合、722MBが追加されていました。
これはとても時間がかかります。
デスクトップマネージャーの選択
途中、デスクトップマネージャーの選択が現れます。今回は標準のgdm3を選択しました。そのままENTERキーです。lightdmは今回は試していません。


インストールには時間がかかります。コーヒーでも飲んで気長に待ちます。
再起動
インストール後、コマンドプロンプトに戻ったら再起動します。
sudo reboot
ログインでUbuntuMATEを選ぶ
再起動後、ログインボックスが出ているメニューで、先程インストールしたUbuntuMATEを選択してからログインします。
そのままだと2番目に表示されているubuntu標準(gnome?)になっています。バージョンによっては画面の右下に歯車マークが出ています。

ここでデスクトップマネージャーを選べることになります。
日本語化
日本語で表示させるには、LanguageSupportでJapaneseを選ぶとインストールが始まります。
preferenceの中にあるLanguage Supportです。(日本語で言うと設定の言語のサポート)

日本語入力はキーボードの設定でやはり同じくJapaneseのレイアウトを選ぶだけです。
コントロールパネルの中の最下段。
ポイントとして、2つを適用した後、ログアウトまたは再起動することで反映されます。
再起動後または再ログイン後、フォルダの名前も変更しますか?というダイアログが出てきます。これはターミナルでコマンドを打つことを考えると日本語になってしまうと大変です。
おすすめはそのまま古い表示を選んで(左側のボタン)フォルダだけは英語表記のまま使用するのが便利です。
もちろん、コマンドは打たないというなら別です。(イザと言うときには面倒ですけどね)
UbuntuMATEの使用感
ハッキリ言って、Raspberry Pi とは思えないくらい快適でした。

もちろん、CPUをバリバリ使うような動画を編集したりしなければ、という前提にはなります。通常の使用ではほぼストレスは感じません。
前回に試したLubuntuよりリッチな表示のうえ軽量です。
やっぱりUbuntuMATEは軽いOSだと思いました。
デスクトップ環境でRaspberry Pi 4を使うなら、UbuntuMATEのデスクトップ環境はオススメです。
しばらく、これはデスクトップPCの代替機として、色んなソフトウェアを試してみます。インストール自体は簡単ですので、手元にRaspberryPi 4があるならどうぞ。
デスクトップPCとしてソフトウェアをインストール
ubuntuにはSnappyというパッケージ管理システムがあります。
そこでUbuntu MATE Welcomeというソフトウェアを入れます。これ、初心者には分かり易いと思います。
sudo snap install ubuntu-mate-welcome --classic
もちろんソフトウェアも全てコマンドでインストールすれば同じことですが、やはり初心者には難しいと思います。見た目で選んでボタンを押してインストールできるのは分かり易いですね。

この中の「ソフトウェア」から分かり易い画面でインストールすることが可能です。

すべて無料ですから、容量が許す限り色々と試してみるのは楽しいですよ。
公式ページでは、ソフトウェアの詳細が画像や動画で紹介されています。
最後に
Windows利用が大半の中、特に日本人は保守的なのか、あまりLinux系を個人ユースで利用することが浸透していません。
昔とは違い、WEBサービスでコトが足りる時代です。OSはあまり大きな意味を持たなくなっています。ChromiumブラウザはGoogleChromeの代替です。UbuntuMATEの標準で入っているWEBブラウザはFireFoxです。
Windows10でもChromeブラウザを使っている人は多いと思いますので違和感はないでしょう。
UbuntuMATEのソフトウェアもいくつか試してみました。
Gimpなどの画像加工系、RhythmBoxなどの音楽再生系、イメージビューワやLibreOfficeなど、遅くて使えないとは思えません。とてもスムーズでラズパイで動いていることを忘れるくらいです。
唯一、ゲームのタックスカートというレースゲームは、動くけれど効果を最低にしても遅いため遊ぶには厳しいレベルでした。
少なくても3B+の時のようにゲームが動かないレベルではありませんが、ビデオメモリーの割り当てを変えてからまた確認してみたいと思います。
ちなみに、ビデオメモリーへの割り当ては、海外掲示板によると256MBが適当だとのことです。
(個人的には384MBを割り当てたりしています)
ラズパイ4の4GBの場合、Raspbianでは512MBまでは問題無く、1GB割り当てたら起動にコケたり不具合がありましたので、3B+よりも少ない256MBでも残りのメモリーも多いので充分な速度なんだと思います。
ラズパイ4は4GBモデルなら、UbuntuMATEなどをデスクトップPCの代替機として利用するに無理がないと分かりました。
個人で簡単な作業はこれで充分だと思います。代替機としてはコスパは最高です。
試してみてください。
※その後、UbuntuMATEもRaspberry Pi へ対応されました。