日頃、Raspberry Pi 4とOMV(Openmediavault)でファイルサーバーを実用的に使っています。裏側で活躍するNASという特徴とは別に、Cloud(クラウド)のような使い勝手が魅力なNextcloudを導入しました。
OMVとはまた違った使い方ができて便利です。
Nextcloudはオンラインストレージを構築するオープンソースアプリケーションです。その構築先としてRaspberry Pi を使用するのに便利なイメージファイルが前身のownCloudからフォークされています。NextCloudPiといいます。
ここではイメージファイルである「NextCloudPi_RPi_03-02-22.img」を使用しました。NextCloudをそのままだと動作環境の設定が必要ですが、NextCloudPiのイメージはLAMP環境もインストールしてくれるスクリプトが仕込まれています。
Raspberry PiではmicroSDカードへ書き込んで起動すれば、すぐに使える利点があります。(いくつかある方法の中から、イメージファイルを用いた例です)
スマホだけならiPhoneの共有でも事足ります。Nextcloudなら、AndroidスマホやPCなどのデータも気軽にホームクラウドできるうえ、専用の無料アプリも使い勝手は悪くありません。
スマホの中のデータがいっぱいになった時の退避先としても活用できそうですね。
どう運用するか
使い方は、あくまでも家庭内の共有サーバーとして活用します。ホームクラウドというわけです。
——機能として、外部から接続することも可能です。ただ、個人的にポート開放をしてIPアドレスを変換するDDNSを使う方法は、スペック的にもセキュリティ的にもあまりオススメしていません。ネットワーク系に理解がある人は、トライしてください。
運用する例は、ファイル置き場にして画像やドキュメントを共有するためにしました。
Nextcloudは、コミュニケーションが図れるツールも内蔵されていて、できることはかなり多い印象です。(その分、設定が多い)
Nextcloudにはスマホやデスクトップで使える無料アプリが存在します。好みは別として、UIが分かりやすいアプリを使ってデータ共有できる点は、OpenmediavaultやSAMBA共有とはまた違った楽しみがあります。
基本はNASと同じでも、ファイル同期やツール利用などが簡単に出来るメリットがあります。
面倒のない運用として、Nextcloudへ同一ユーザー名でログインしてアプリを使い、複数のスマホやタブレットから写真などを送信してファイルを同期させます。
同一ユーザー名でログインせず、デバイスに別々のアカウントを発行しても、共有の設定はNextCloudPi側でも出来ます。それでも構いません。別ユーザーであれば、個別に写真データなどをバックアップ先にすることも可能ですね。
とりえあず、今回は面倒がない方法として、同一ユーザー名での共有としておきます。(共有したいファイルをNextcloudへ送信する)
構築した環境
使ったRaspberry Piのモデルは、Raspberry Pi 4(4GB)です。Wi-Fiで運用するなら、Raspberry Pi 3B+でも良いでしょう。

microSDカードで起動させ、データファイルの置き場所は、USBメモリー(またはUSB接続HDD)にしました。
起動もSSDドライブと言いたいところですが、ローコストでできて、データだけが隔離されていれば復旧も容易いと思いそうしました。
今回の環境
- Raspberry Pi 4(4GB)
- microSDカード32GB
- USBメモリー128GB
- USB電源
- (最初だけHDMIケーブルでモニターに接続)
- NextCloudPi_RPi_03-02-22版

ダウンロード:https://ownyourbits.com/downloads/
起動させてWi-Fiの設定
microSDカードへ書き込むのは、いつものようにRaspberry Pi Imagerのカスタムイメージから行います。
このままではWi-Fiの設定ができていません。簡単な方法はHDMIケーブルでモニターに繋ぐことです。起動すれば、しばらくすると、Raspberry Piのログインプロンプトで止まります。
いつものRaspberry Piと同様に、ユーザーpi、パスワードraspberryでログインしてから、sudo raspi-configコマンドでWi-Fiの設定をします。
ついでにロケール(地域設定)なども行いました。
Webブラウザからへログイン
Wi-Fiの設定が終わったら再起動になります。起動後、今度はログインしなくてOKです。ブラウザのWebUI画面から設定していきます。コンソール画面にMy IP adress〜と表示されているので、それでIPアドレスは分かるでしょう。
PC&macOSのWebブラウザに、先程のIPアドレスを入力することで、管理画面からアクセスする設定を続けます。
ここまででモニターは必要なくなります。
WebUI画面
非常に分かりにくいのですが、Nextcloudの画面とは別に、NextCloudPi側の画面が2つ存在します。それぞれログインIDとパスワードが異なるので注意してください。(IDはデフォルトは同じ)
最初にNextCloudPiの管理画面
分かりやすいように、最初はNextCloudPiの管理画面に入ります。
https://192.168.XX.XX
先程、コンソール画面で表示されたIPアドレス
すると、証明書がないから危ないよ、なりすましているよ、という警告が出る場合があります。ちょっとビックリしますね。

これはNextCloudPiに限ったことではありません。httpsで繋いで居るから出る警告です。今回は証明書が無いのは分かっていることですから、赤枠にあるこのWebサイトを閲覧のリンクをクリックすることで接続します。
もしもインターネットでウェブサーフィンしている時に出た場合は、本当に危険です。その場でWebブラウザを閉じてください。
アクティベートする
画面には何やら同じような内容の物が2段になって表示されています。
上部が、NextCloudPi の初期ユーザー名ncpと初期パスワードが表示されています。
下部は、Nextcloudの初期ユーザー名ncpと初期パスワードが表示されています。
非常にややこしいのですが、この2つは別物になっています。今回microSDカードに書き込んだのは、NextCloudPiのイメージファイルです。
Nextcloudは、今回使いたいクラウドの運用画面です。
- NextCloudPi(コマンドncp-configのWebUI画面)
- Nextcloud
スペルをみてください。大文字小文字が微妙に違いますね。

画面にはPrintのボタンとActivateのボタンがあるのが分かります。パスワード欄の横にはクリップボードへコピー出来るボタンがあります。
先ずはPrintボタンで印刷(PDFなり)で残して置くことをオススメします。更に、パスワードをクリップボード経由でコピーして何かテキストファイルに一時的でもコピペしておきます。先にNextCloudPiへログインして、Nextcloudへは、あとでログインするので控えておきましょう。
それが済んだあと、Activateのボタンを押すと、以下のような画面でユーザー名とパスワードを聞かれます。(画面はmacOSのSafari)

アクティベートで求められるログインは、ポート番号4443を指定されているので、先程のNextCloudPi(画面上部の方)のデフォルトユーザー名ncpとパスワードをコピペします。
セットアップウィザードで設定
NextCloudPiに初めてログインすると、セットアップウィザードが開始されます。

英語なので間違えないようにしましょう。







Nextcloudへログイン
ウィザードが終了した時に表示されている丸いアイコンをクリックすることでNextcloudとNextCloudPiのWebUIダッシュボード画面へ遷移します。
このままNextcloudへログインしてみましょう。

どちらの画面でもトップバーにそれぞれのダッシュボード画面へ移動できるアイコンボタンがあります。



同期の設定
Nextcloudもたくさんの設定項目があります。すべてを使い熟さなくても、ファイルの共有はできます。スマホアプリやデスクトップ版アプリで同期の設定も簡単です。
この辺は他のクラウドサービスと同じですね。

専用アプリ
Nextcloudには無料で使えるアプリがあります。Windows、macOS、Android、iPhoneアプリ。個人的に使いやすいアプリだと思いますよ。



動作状態-システムインフォ
NextCloudPiにログインした時に表示されているシステムインフォの画面の通り、64bitで動作していて、データの格納場所は設定通りにUSBメモリー、容量も合っています。
フォーマット形式はデフォルトでbtrfsです。

セットアップウィザードを終了した時点での情報です。今回はポート80番と443番はクローズされ外からアクセスはできません。DDNSを使う場合も、有名なDDNSサービスの設定が用意されています。ドメイン名とトークンを入力するだけで済ませることが可能です。
かなり多機能
Nextcloudは多機能で、私も全部の機能は使えていません。特にNextcloudアプリを追加することで、かなりのことが実現できます。
動作しているのがRaspberry Pi ですから、あまり処理能力が求められるアプリはどうか分かりません。
動作に支障がなくても、サーバー関係のエラー(警告)が多い印象。大抵はサーバーとして何かライブラリ等が足りないケースが見受けられます。この辺は1つずつ適用していくしかありません。その場合はRaspberry Pi側にログインしてインストールや設定を施すことになるでしょう。
NextcloudをLAMP環境から構築するより、Raspberry PiならNextCloudPiを使うと簡単でした。
運用するのに設定項目も多いので、ドキュメントは欠かせません。細かい設定など、別の記事でまたご紹介していきたいと思います。
NASのOMV+Raspberry Piも重宝しますが、NextCloudPiで構築したNextcloudも実用的な速度で満足しました。