Raspberry Pi 4でUSB3.0が使えるようになり、OpenMediaVault(OMV5)のNASサーバーも実用的になりました。安い外付けHDDを繋げば、格安のファイルサーバーになるのでおすすめです。今回、少しHDDの容量を空け、macOSのバックアップ用(TimeMachine)としても利用することにしました。
現行のOMVにはTimeMachine共有がサポートされ、比較的に簡単な操作で割り当てることが可能です。NASにバックアップ取るのは、macbook系でとても利便性が高いため、Raspberry Pi 4で構築してみてはいかがでしょうか。
※SMBサーバーとTimeMachine共有は、macOS High Sierra以降のバージョンになります。
今回の環境
既にOpenMediaVault(OMV5)でファイルサーバーとして稼働しています。そこにUSB3.0接続の外付けHDDを2台取り付けています。

1台3TBのHDDを新たにフォーマットし、約1.2TBをTimeMachine用にスペースを設けました。残りの約1.7TBはやはり倉庫としてファイル置き場にしています。
もしも稼働しているファイルサーバーがあり充分な空き容量があるのなら、共有フォルダをTimeMachine用に設定するだけになります。
ちなみに、フォーマット形式はext4です。ユーザーはファイルサーバー利用ユーザー以外に、macからのみアクセスできるように別ユーザーを作成しています。
同じでも構いませんが、samba共有フォルダをクォーターで容量を制限したいため分けました。つまりTimeMachine用として最大容量を決めるためです。

セットアップ方法
新しいHDDや一度フォーマットしたHDDの場合、ファイルシステムを作成しマウントします。既存のHDDを使う場合は省略してください。

ファイルフォーマットはext4にしました。Linuxからしか読めませんのでご注意ください。ジャーナリングや暗号化などを行いたいので、exfatではなく、ext4、またはxfsでフォーマットする必要があります。
マウントしないと使えません。画像はフォーマット直後です。
TimeMachine用の共有フォルダの追加
TimeMachineでアクセスするフォルダを作ります。
サービスーSMB/CIFSー共有タブから共有フォルダを追加します。
OMV5ではデフォルトでmacのTimeMachine共有がサポートされています。有効にするだなので、めちゃ楽になっています。
mac用新規ユーザーの追加
TimeMachineの領域としてクォーター機能(容量制限)を使いたいので、ファイルサーバーにアクセスするユーザーとは別にmac用に新しくユーザーを追加します。
このユーザー名とパスワードは、macOSのTimeMachineで入力します。
アクセスの管理ーユーザーー追加です。
ちなみにファイルサーバーへのアクセスするユーザーは、シェルにデフォルトの「/bin/sh」のままで良いでしょう。
クォーターの容量は今回は1.2TBにしたいので、ユニットをTiBに変え1.2と入れました。GiBなら1200です。デフォルトのMiBなので間違えないようにしましょう。細かく設定したい場合はユニットを下げないとなりませんね。面倒なので1.2TiBで設定したところ、macOSでは1.29TBと表示されました。
TimeMachine用にはどのくらい容量が必要?
何のデータを主に扱うかで異なりますが、最低でもmacに搭載されている容量の2倍は必要です。動画編集などで大きなファイルを扱うのならば最低5倍はみておきましょう。
私のMacBookは古くて128GBしか積んでいません。その5倍だと640GBです。しかし、近々買い替える予定です。その場合は最低が256GBのSSDになりますから、その5倍1280GBは必要になります。そのため1.2TBとしたわけです。
テキストファイルや音楽ファイル中心 → 搭載容量の最低2倍の容量
動画も画像も大量に扱う → 搭載容量の最低5倍の容量
面倒なら、仮に外付けHDDが2〜3TBであれば全て割り当てても良いでしょう。Raspberry Pi 4にはUSB3.0ポートが一応2つあります。電源アダプター付の外付けHDDなら2台繋いでも大丈夫です。(※2台同時の転送はコントローラーが結局同じなので遅くはなります)
macOSから選択
これで自動的にmac側からも見えると思います。
既にOMV5が稼働しているなら、新規ユーザーを追加し、TimeMachine共有フォルダを追加、クォーター管理をする。TimeMachineサポートを有効にして、終わりです。
簡単に言えば、TimeMachineサポートを有効にするだけとも言えます。

TimeMachineのバックアップはかなり時間がかかります。66GBでも10時間くらいかかりますね。できれば購入したての頃、あまりファイルを作っていないうちに行っておくと、あとは差分のバックアップだけとなり時間はかかりません。
また、途中で仮にアンマウントしても、また途中から開始しますので気にしないでもOKです。ただ、同じHDD内の他のファイルデータにアクセスするのは、どちらも遅くなってしまいますので終わってからにしましょう。
便利なファイルサーバー
サーバーと言っても色々ありますが、家庭内Wi-Fiが当たり前になり、速度も高速になった今は、ファイルサーバーというのは本当に便利です。
私は主に下図のようにファイルサーバーからデータを取得して楽しんでいます。

- ノートパソコンのバックアップ兼データ置き場
- サーバーにある音楽ファイルをスマホで聴く
- ラズパイにLibreelec入れてファイルサーバーから動画や写真を観る
- スマホでもメディアを再生する
- タブレットでファイルサーバーからメディアを再生
- 自炊本をタブレットへストリーミングして読む
- macOS用TimeMachineとして利用 ←今回追加!
しかも、これが1人ではなく複数人で同時に可能です。別の部屋でもWi-Fiが届けば大丈夫です。(風呂場にあまり電波が届かないのが残念ですね)別のテレビやモニターにもラズパイとLibreelecを繋げてありますので、このテレビじゃないとダメが減ります。スマホやタブレットなら移動も自由です。
このようなデータの参照場所として、Raspberry Pi 4にOMVと外付けHDDという組み合わせは非常にコスパが良い部類だと思いますよ。
Raspberry Pi 4セット | 約13,000円〜16,000円程度 |
外付けHDD×1 | 約9,000円程度 |
OpenMediaVault | 無償 |
既製品のNASと比べておよそ半分くらいで構築できます。安心なのは既製品なのは言うまでもありません。
あくまで簡易的
念のため記載しておきますと、安価な外付けHDDを使うこともあり、sambaサーバー、それもRaspberry Pi 4で構築している点も含め、あくまでも簡易的なツールと思ってください。堅牢性を考えれば、それ相当の費用をかけたバックアップサーバーとは比較にはなりません。
そうは言っても、個人ユースである限り私はこれで充分だと思っています。外付けHDDも2020年現在、1万円程度で4TBくらいまで購入可能です。壊れる前にコピーして継続利用するという手間はかかりますが、気軽に使えるのはRaspberry Pi 4で構築しているメリットです。
実際、24時間365日でファイルサーバーのHDDとして使用するのに、1万円程度の外付けHDDは1年くらいの運用ならば、かなりの確率で大丈夫でしょう。ビジネスの現場では緊急用になりますが・・・。
個人ユースの体験では、3年くらいは異音もせずに使えています。むしろ、設置場所に影響されるので、熱が逃げやすいように工夫すると良いでしょう。

Raspberry Pi 4という基板で構築しているので、あくまでも家庭用ファイルサーバーとなりますが、既製品と違って色々と自由に設定できます。サーバーにも詳しくなるのでオススメです。
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