2019年に登場したRaspberry Pi 4 model Bで動作するOSが次第に増えてきました。Raspberry Pi はCPUなど構成が一般的なPCとは異なるため全てが動作するようにはなりません。動くと思われるOSを公式OS+NOOBSの他に10種類を実際に試してみました。
インストールしたのはRaspberry Pi 4 modelB メモリー4GBモデルです。2GBや1GBでは動かないOSもあると思います。
各公式フォーラムを覗いてみると、まだこれから対応予定がありそうなディストリビューション(種類)があると思います。また、3B+まで動作していたOSなどは今後に期待します。
ラズパイ4のが人気なのは、デスクトップPCライクに使えると期待されているからです。
Windows10マシンやMacOSが10万円〜する中、LinuxOSとはいえ1万円台で同じような作業できるマシンをセカンド、またはサードマシンとして活用してください。
リアルガチにインストールしてみた結果、以下のOSはきちんと対応していました。いくつかのOSはかなり安定してサクサクと動作して実用的でした。
公式
先ずはサポートされている公式から。
公式OS Raspbian
当然ながら公式OSであるRaspbianはここでは触れません。ラズパイ4に最も適しているOSです。ただ、デスクトップ環境でPCライクに使うにはUIが少し寂しいかな。Debian系です。

NOOBS
同じく公式からNOOBSというOSを簡単にインストールするツールが配布されています。このNOOBSからも公式に認められたOSがインストール可能です。
OSブートセレクターBerryBoot
このBerryBootは非公式ながらNOOBSと同様に簡易的にOSをインストール可能です。メインはブートローダーとしての機能で複数のOSを選んで起動できるようになります。

ラズパイ4ではエラーが出るOSもありました。あくまでもブートローダーとして使いたいなら比較的に簡単です。
基本はOSをインターネットからダウンロードしますので、NOOBS同様に時間はかかります。(※NASなど外部ストレージにOSを保存して選択できる。が、遅いのはあまり変わらない)
現状ではBerryBoot側もとりあえずラズパイ4に対応という状態なので、常用よりもいくつかのOSを試してみたい程度で捉えてください。

メディア系
動画や音楽などのメディア再生&サーバーとして機能するOSです。
Volumio
オーディオに特化したOSです。Raspberry Piはネイティブにサポートされています。ラズパイの拡張モジュールHAT(pHAT)にも多くが対応していて、手軽にハイレゾが楽しめます。
サブスクリプションのSpotifyに対応しているため世界的に人気があります。Debian系です。
ラズパイダ的にはmoodyaudioもオススメしています。こちらの方が軽く動作します。

LibreELEC
世界的に支持されているマルティメディアサーバーOSです。主に動画を扱うのに利用されています。他にも音楽、画像、ゲーム、録画(日本以外)に対応し、Amazonプライム・ビデオも再生可能です。Debian系です。

OSMC
LibreELECと双璧を成すマルティメディアサーバーOSです。使い勝手はほぼLibreELECと同じです。こちらもDebian系です。

NAS(ファイルサーバー)系
NextcloudPi
NextcloudPiはラズパイに特化したクラウドストレージを構築できるOSです。Debian系です。
Raspberry Pi 4用イメージには、BerryBoot用もありました。
※今回構築はしていません。ラズパイ4での動作は問題ありませんでした。
ラズパイなどよりもネットワークの知識が無いと運用は難しいと思います。光回線接続でも個人宅だとアップロード速度が遅いため、外部からの利用は実用的ではないでしょう。
各種クラウドサービスがお安くなっているので、そちらを増量した方が無難です。

OpenMedeiaVault
ファイルサーバーのOSです。
個人的にもこのOSとラズパイ4、外付けUSBHDDで簡易ファイルサーバーを利用しています。
USB3.0に対応したラズパイ4でそれなりに使えるようになりました。主にテキストと画像、音楽ファイルを中心に1GB程度のファイルまでなら実用的です。

デスクトップPCライク系
ラズパイ4で期待するのはデスクトップの代替利用ができないか、ということがあると思います。

DietPi
これは本当に軽いので、ラズパイということを忘れます。Debian系です。

起動時の注意として有線LANへ接続して起動させるか、microSDカード内のdietpi.txtのネットワーク設定をておこなってください。起動シーケンスが進みません。
インストールを進める中で、コマンド画面内とはいえWi-Fiの設定ができますが、面倒なので、先に用意した方が無難です。(私は面倒だった)
また、デスクトップ環境までのインストール設定は特殊な形で進みます。基本は英語で操作が分かりにくいため、あまり慣れていない人はインストールは難しい部類に入ると思います。




かなり使えるOSなので、また別の記事でインストール方法はまとめたいと思っています。
公式サイトにはbenchmarkが載っています。CPUとメモリーもラズパイ4だけ数値に差が出ます。軽いという証明ですね。


LXDE、XFCE、MATEが選べます。
せっかく軽いOSなので、XFCEで良いかと。
Manjaro Linux
Raspberry Pi 4でもデスクトップ環境はPlasmaかXFCEを選べますが、より軽量なXFCEが良いと思います。人気のCinnamonはサポートされていません。Arch Linux系です。

これはとてもデザインが良くて試してみたくなりますよね。
Debian系ではないため、ソフトウェアをインストールするパッケージシステムが異なります。

openSUSE
OpenSUSEもう少しで動くOSとして掲載しておきます。試しましたが、USBホストが機能せず、キーボードとマウスが反応しないためログインできませんでした。
次の機能はまだ機能していません。とありました。
- WiFi
- PCI-e
- USBホスト
- イーサネット
インストールに使用したのは「openSUSE-Tumbleweed-ARM-XFCE-raspberrypi4.aarch64-2019.10.25-Snapshot20191109.raw.xz」です。
起動はしているので、修正があればと思います。イメージファイルも10/25版ですから、近いうちに動作すると思われます。
なお、BerryBootからのインストールは動作しましたので、一応動くというOSに載せておきます。

BerryBootでインストールしたopensuseは、動作は快適でしたが、リポジトリが破損と出たので使える環境まで設定する必要があります。パッケージ管理システムがYaSTなのでDebian系と異なり慣れていない初心者には難しいでしょう。openSUSEはUNIX系です。
動作が軽いので今後に期待したいです。
Ubuntu Server + デスクトップ環境

ちょっと特殊に感じると思いますが、UbuntuServerはIot向けUbuntuCoreと共にラズパイ4に対応しました。
もちろんサーバーOSなのでそのままではコマンドでしか使えません。
2021年現在、Ubuntu DesktopもUbuntuMATEは正式にRaspberry Piに対応しました。専用のイメージファイルをRaspberry Pi Imagerまたは公式サイトから入手してインストールしてください。



少し動作は遅くなりますが、Raspberry Pi OSよりもリッチなUIでデスクトップPCライクに使えます。UbuntuはDebian系です。

Kali Linux
セキュリティーツールを構成したディストリビューションです。そのため、あまり一般的には利用することもありません。こちらもDebian系です。Debianと同じように使えるのでRaspbianなどを使っていれば戸惑うことは無いでしょう。

見た目がManjaroのようで、ブラック基調でカッコイイですね。
Kali Linuxは、高度な侵入テストとセキュリティ監査を目的としたDebianベースのLinuxディストリビューションです。Kaliには、侵入テスト、セキュリティ調査、コンピューターフォレンジック、リバースエンジニアリングなど、さまざまな情報セキュリティタスク向けの数百のツールが含まれています。
https://www.kali.org/docs/introduction/what-is-kali-linux/
わざとサーバーに侵入したり、サイバー攻撃の演習が行えます。
きちんとしたセキュリティを高める為に利用するツールがたくさん入っています。セキュリティ関係の仕事に就きたいのなら、Kaliは必須でしょう。
ある意味、悪用もできますので、本当に一般の人には縁の無いOSかも知れません。

現実的に対応しているとは言いにくいOSも
他にもラズパイ4で動くとされる様々なOSがリリースされています。いくつか試しましたが起動できていません。情報が少なすぎますね。
そもそもどのイメージをダウンロードするのか分からないうえ、インストール方法もRaspberry Piに言及していないなど分かりにくいのでオススメ出来ません。
本当にただ動くだけなら動くのでしょう。
ALPINE LINUX 3.11.0 RELEASED
alpine linux3.11.0:https://alpinelinux.org/posts/Alpine-3.11.0-released.html
Support for Raspberry Pi 4 (aarch64 and armv7)
Initial GNOME and KDE support
Gentoo linux
https://www.gentoo.org/news/2019/08/11/arm64stable.html
AArch64 (arm64) profiles are now stable!
Fedora Server
Fedora Server is available for x86_64 and ARM.(別にPidoraがあるが2014と古い)
https://getfedora.org/ja/server/download/
基本として、Raspberry Pi 4専用またはそれに近いイメージが用意されていること、microSDカードから起動セットアップできること、致命的なバグが無いか簡単な回避策で済むといったOSではないと、あまりRaspberry Piでインストールする意味はないと思っています。
少なくてもこのラズパイダではご紹介しません。しかし、かなりの数がRaspberry Pi 4に対応してきたなと実感します。
過去のRaspberry Piで動くOSとしてはおよそ33種類を超えます。使い物になるのはそのうち10種類くらいでしょうか。また探してみたいと思います。
デスクトップPCの代替におすすめ
やはりDebian由来ではないと、インストールできたとしてもバグも多く快適には使えませんね。
現実的にはUbuntu系かArch Linux系ならばまともに使えると思います。
ラズパイ4でUbuntuServer + デスクトップ環境のおすすめの理由は・・・
ラズパイ4でUbuntuServer + デスクトップ環境
Ubuntu 20.10からは、Server版ではなくRaspberry Piに対応したUbuntu Desktop版が動きます。
- インストールが比較的簡単
- Raspbianと同じDebian系
- 軽さと性能のバランスがいい
- 日本語環境も容易に実現可能
- コミュニティが多くあり調べられる
Ubuntu Server 19.10 Raspberry Pi 4向けは2種類あります。
- 32-bit for Raspberry Pi 2, 3 and 4
- 64-bit for Raspberry Pi 3 and 4
Raspberry Piはハードが64bitに対応していますが、RaspbianOSが32bitなので、ここは64bitのUbuntuServerが良いでしょう。
■軽さの順番
xubuntu < lubuntu < kubuntu < MATE
Raspberry Pi 4をお持ちなら、一度試してみてください。充分にサクサク動作してデスクトップPCライクに使えることに驚くと思います。
更に軽くて快適なOSにDietPiがありますが、設定方法が少し独自なので初心者にはおすすめしません。
次点として、Manjaroは玄人好みで気に入りました。ソフトウェア管理であるパッケージシステムが、Debian系と異なり慣れません。ウーン・・・といった感じです。
ラズパイ4で動作するOSのご紹介でした。
※3B+ならばもっと多くのLinuxOSが動作しますが、デスクトップ環境としてはスペックが足りずに物足りないと思います。
関連リンク
- https://volumio.org/
- https://ownyourbits.com/nextcloudpi/
- https://en.opensuse.org/HCL:Raspberry_Pi4
- http://download.opensuse.org/ports/aarch64/tumbleweed/images/
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