Raspberry Piに使うOSを用意するのに、microSDカードやUSBメモリーなどへ書き込むアプリケーションとして「Raspberry Pi Imager」を使います。
Raspberry Pi本体とは別のPCで作業する必要があります。特にmicroSDカードを読み込めるPC環境が必須です。
公式リリースされた機能として、インターネットに繋がる状況があれば、Raspberry Pi単体でOSをインストールできる仕組みのネットワークインストールが発表されました。
インターネットに繋がるというのはWi-Fiではなく、物理的にルーターと有線のLANケーブルで繋ぐ必要があります。
PCでもCD-ROMなどを装備していない端末に対し、サーバー・クライアント関係を構築したサーバーから、OSやアプリケーションをインストールできる仕組みがあります。これとは少し異なる仕組みです。
別のパソコンが必要無いメリットよりも、microSDカードを挿入する手段のない環境には有効な方法です。
microSDカードの挿入ができないパソコンも多いので役立つかも知れません。Raspberry Pi 4/400が手元にある人に向けて内容をご紹介します。
対応しているのは最新モデルとバージョン
Raspberry Pi 4/400本体と空のmicroSDカード、ネットに繋がる有線LANケーブルがあれば、Raspberry Pi OSをインストールできます。
残念ながらRaspberry Pi 3以前には対応していません。
また、この仕組みは現在はベータ版の機能です。いずれ最初から導入済みとなる予定です。
機能がベータ版の状態で試すには、ブートローダーをベータ版バージョンにしなくてはなりません。
- Raspberry Pi 4/400
- ブートローダーをベータ版に更新
- 空のmicroSDカード
- 有線LANケーブル(ネットに繋がる)

ブートローダーの最新バージョン
ブートローダーのバージョンは、記事執筆時点で2022年2月4日でした。ベータ版の状態なので、敢えてこのバージョンにブートローダーを書き換えないとなりません。

メインメニュー下から3番目にあるMisc Utility imageの中の「Beta Test Bootloader」

どのブート順序かを選びます。
私はいつもUSBブート状態にしているので、2番目のUSB Bootを選びました。USBブートさせない場合でも、microSDカードへイメージがあればそちらから起動もできますのでオススメです。
SD Card Bootは通常なので、特にUSBブートをしないのであれば、こちらで構いません。
一度電源をいれて更新する
このブートローダーを書き込んだmicroSDカードを、一度Raspberry Piに挿して電源を入れます。
ファームウェアの更新をさせます。
真っ黒い画面から、画面が緑色になり、アクセスランプは緑色の点滅になった段階で、ブートローダーの更新が終わっています。
電源を切り、microSDカードも抜いておきます。
ここまでのブートローダーの更新は、いずれ購入時から機能が付いていることになります。現在はベータ版の更新が必要なので、すべての人が更新しないと機能が使えない状態です。
ネットワークインストールの画面

空のmicroSDカード(後で挿入しても良い)とHDMI端子、有線LANケーブルを繋いで電源を入れます。
ブートローダーの更新が終わった段階で、何もない状態で電源を入れることで、以前とは異なりネットワークインストール用の画面が表示されます。

シフトキーを3秒押すことにより、起動イメージを探すルーチンを飛ばせます。その後、スペースキーで次へ進めます。
見慣れたRaspberry Pi Imagerの画面いっぱい版が表示されます。
ここから空のmicroSDカードを挿入し(事前でも可)OSを選んで書き込んでいきます。

ちなみに下部にある言語にJapaneseはありません。キーボードレイアウトはJPがありました。
その後、ネットワークからダウンロードしながら書き込んでくれます。

通常よりも時間がかかる印象でしたが、気のせいかも知れません。ここでは試しに32bit版のRaspberry Pi OSをインストールしてみました。
Raspberry Pi ImagerからインストールできるOSは選択可能です。
今後は標準搭載へ
この機能はいずれは標準搭載されます。(20220204はベータ版)
これまでのような以下の画面が裏側で動いている状態です。先程のシフトキーの長押しはこれをスキップしているとありました。

microSDスロットやUSBメモリーなどをループしながらスキャンしている状態です。
書き込んだOSで起動した

書き込みが終わると電源が切れますので、再度電源を入れると起動時にネットワークのインストール画面が表示されずに書き込んだOS起動します。
ブートローダーのバージョンはコマンドで確認できます。
vcgencmd bootloader_version
Raspberry Pi Imagerを使えるパソコン要らずというより、microSDカードスロットが無いパソコンで有益な方法になるでしょう。
ネックなのは有線LANケーブルが必要な点です。むしろ、こちらの方が無い(余っていない)が多いような気がする。USBに挿すmicroSDカードアダプターも要らない。
これがWi-Fiだったら利便性は更にあったと思います。しかし、そうなると結局はWi-FiのSSIDやパスワードをどこかで知って入力しないとなりません。そもそもWi-Fiが無い環境もあるので現在は仕方ないでしょう。
ネットワークインストールというより、Raspberry Pi Imagerを搭載したブートローダーという印象でした。
今後はこれがスタンダードになるようですから、一度試してみると使い勝手が変わるかも知れません。
Raspberry Pi 単体で行えるネットワークインストールでした。
参考:
