ラズパイダにはRaspberry PiをデスクトップPCで利用したい人が訪れてくれている比率が多くなっています。コロナ禍ということでお家時間が確実に増えているのも要因でしょう。Raspberry Pi自体の認知度が高まったこともあります。
では、実際にデスクトップPCとして使えるのか、使っているのか?
結論から言えば、使い方により使えます。
もう一つ、「パソコン=Windows OS」という前提は捨てていただくと、Raspberry Pi 4をデスクトップOSとして使える判断により一層近づくと思います。
パソコンではなくマイコン
最初にお断りしておくと、パソコンもマイコンも同じ物を指しています。
- パソコン → パーソナルコンピュータ
- マイコン → マイクロコンピュータ、またはマイ・コンピュータ
1980年代の認識として、少なくとも私は、「マイ・コンピュータ」の意味で使っていました!
当時はパソコンという言葉は、初心者界隈には無かったように思います。ほら、一人一台の時代は夢の世界でしたからね。今のパソコンは、そのまま「コンピュータ」が一般的だったと記憶しています。
たぶん、「マイコンBASICマガジン」(通称ベーマガ)の影響下にあったからだと想像します!
当時のマイコン
正確な言葉の定義は無視してもらい、現代のマイコンというのは「マイクロコントローラー」、はんだ付けされた組み込み系のコンピューター等を指しています。
そうなるとデスクトップ環境はありません。
- パソコン → デスクトップ環境、GUI環境
- マイコン → 組み込み系、CUI環境
マイコンの基板は自作PCのように、とっかえひっかえできない物です。ハードウェアの性能は変えられませんから、電子家電や各種電子機器に組み込まれたコンピュータと同じ仕組みと捉えています。
Raspberry Pi の場合、デスクトップ環境を持つOSがあって、入力機器(マウスなど)が接続でき、画面を出力できる(HDMI)機能も有していることから、パソコンとも言えます。

ちょうど真ん中、どちらの特徴も有している。

マイクロ・パーソナル・コンピュータ!
マパコン!? いや、Piコン!?
Raspberry Pi は当時のマイコンの最新機種?
当時のFM-7、PC-88、PC-98といったパソコンは、OSはあってもCUI環境が基本でした。
当時のマイコンは、プログラムを書いて実行することが基本の端末で、ゲームやワープロといったソフトウェアは少しだけある時代でした。
この辺がRaspberry Pi に近い理由です。(特にキーボード一体型のRaspberry Pi 400)
デスクトップPCというより、デスクトップ環境もある組み込み系のマイコンといった印象です。
まるでマイコンが進化した結果、Raspberry Piになったような感覚なので、パソコンに最も近いマイコン?の方がしっくりくるかな。
言葉遊びですみません。

デスクトップ環境はリッチかスピードか
2択ということはありませんが、求めるデスクトップ環境が、綺麗で操作性が良いリッチな環境か、サクサクと動く速度を重視しているかがあると思います。
現代のパソコンがどちらも有しています。流石にRaspberry Piで求めることは難しい性能です。
とは言っても、Raspberry Pi 4と400は、及第点を与えられるくらい性能が高いと感じています。比較対象が20万円するパソコンと比べられません。よしんば比べてもChromebookでしょう。
価格的にRaspberry Pi 一式がChromebookの廉価版2万円台と同価格帯と捉えると、負けていないと思いますよ。
何よりも自由度は高い。
色んな電子部品と連携できたり、オープンソースを利用するため無償というのが大きい。もしもプログラミングが達者であれば、Raspberry Piはかなりのことが実現できる端末です。
Raspberry Piは、コマンドインターフェイス(CUI)だけではなくデスクトップ環境が存在するリッチさと、コーヒーを淹れるくらい時間がかかるわけでもないスピード感はあります。
それがパソコンとは比較にならない程に安価で手に入ることが魅力の1つです。
サクサク感は基本のRaspberry Pi OS
公式から出ているOSが「Raspberry Pi OS」で旧Raspbianです。
元々Debianが元なので、そもそもリッチなデスクトップ環境ではありません。その分、安定性と速度が優位です。
見た目が豪華なOSは、その分だけグラフィックにメモリーも使います。質素で味気ないのは残念ですが、基本として分かりやすいのもRaspberry Pi OSでしょう。
細かい点などもRaspberry Piに合わせてあるため、専用OSとして使い勝手は言うまでもありません。

リッチな最新OSならUbuntu MATE
Ubuntuは、世界的にみても有名なOSになりました。何よりもユーザーが多いため検索すれば情報が日本語でも手に入りやすい点が挙げられます。
個人的にも5年くらいはメインで使っていたので分かるのですが、Ubuntuのデスクトップ環境なら、Windowsユーザーも納得すると思います。
Ubuntuにもいくつか種類があります。中でもユーザー数も多いMATE(マテ)はオススメです。
本家Ubuntu DesktopよりもMATEの方が軽いためです。
これはRaspberry Pi 4に載せても同じでした。メモリーが8GBモデルのRaspberry Pi 4なら更に快適です。

その他のOS
まだまだ動くOSはたくさんあります。しかし、ほとんどは使うというレベルではなく、動くレベルのOSも多いのも事実です。
Manjaroが軽くて一番オススメなんですけど、日本人ではあまりユーザーが多くないため、詰まると情報が乏しく感じると思います。
総合的には、基本のRaspberry Pi OSかUbuntuMATEで使ってみてください。

Raspberry Piはまるでタイムマシーン
Raspberry Piの性能を伝えるのに、古いパソコンの性能だと答える機会があります。
Raspberry Pi 4が発売された2019年に感じたことは、2014年〜2015年頃のintel Core i3に近づいた感覚がありました。(HaswellやBroadwell等)
その前モデルであるRaspberry Pi 3B+は、更に前の時代である2006年頃に流行ったMini-ITXマザーボードに近い感覚でした。(VIA C7等)
2006年はWindowsで表現すればXPが全盛の頃です。
当然ながら、同列に比較はできません。あくまでも個人的な感覚ですよ。

実際の数値も、2014〜2015年辺りの主要なCore i3は、CPU速度が2GHz、2コア4スレッドの性能でした。Raspberry Pi 400が1.8GHzで4コアで、メモリーが4GBあるので似ています。
古いエントリーマシン
デスクトップOSを使ってみると、操作の速度感覚が、それなりの性能で安価に手に入るエントリーモデルのようです。
現実的には、メモリーの性能も含めて根本から異なりますから比較自体の意味はありません。
これを当時の使用感覚に照らし合わせた場合に、Raspberry Pi 4が発売時に5年落ちくらいで、3B+が13年落ちくらいの性能に近いと感じるだけです。
色んな意味でコンピューターの速さという点において、Raspberry Pi は古いパソコンを購入した捉え方をしてみてください。あまり無理なことは望めませんよね。
それでもArm版Windows10、最新のUbuntuを載せられたり、意外とサクサクと動いてくれることにRaspberry Pi好きな人は驚いているわけです。
性能は数年前のエントリー向けパソコン並と想像してデスクトップOSとして使ってみてください。