ラズベリーパイを始める人が多くなって嬉しいラズパイダです。まだまだマニアックなジャンルで誰にでもオススメできるわけではありません。初心者でも家庭内に限っていえば別にどーなっても構わないワケで、ITに疎くても文系でも数学が苦手でも、それなりに出来てしまうラズベリーパイはやはり素敵です。
数年に渡りラズベリーパイをイジってきた中で、ホームサーバーに仕立てるのが実用的で比較的に簡単だな、と思っています。
- 簡単なネットワーク音楽プレイヤー
- どこにも公開しないメディアサーバー
- 誰にでも便利なNAS
- 自分だけのWebサーバー
の4本です!ぜひ、トライしてみてください。
簡単なネットワーク音楽プレイヤー
正確にはMPDサーバーと言います。(Music Player Daemon)現代で音楽を聴くのは主にスマホでしょう。昔みたいにCD・MD、カセット・レコードをステレオコンポで聴く人はマニアになってしまいました。
その音源も無料またはサブスクリプションの月額で聴くオンデマンドが主流です。(Spotify、AmazonMusic、AppleMusic、GooglePayMusicなど)
唯一、CDをまだ所持しているご年配いや、CD世代もそろそろ移行していますよね。
そこで! ラズベリーパイ+MPDサーバーが活躍します。
音楽CDのコピーは私的利用に限り認められています。(※日本レコード協会のQ&Aページを参照)レンタル店からコピーしても、自分が聴く分には合法です。
音楽ファイルは小さいファイルです。仮にmp3であれば、標準音質で約10分の1以下のサイズなので、1曲5分弱で平均4MB台です。
これなら仮にOSと一緒のmicroSDカードへ保存したとしても、1,000曲は軽く入ります。
ハイレゾ音源であっても100MB以下/1曲なので、Wi-Fiの帯域幅なら余裕です。
実際はストリーミング配信も可能なため、それほど気にしなくて良いでしょう。
サイズが小さいということは、データ転送も時間がかかりません。ネットワーク越しにコピーする場合も一瞬です。
ソフトウェアが充実
ラズベリーパイでも扱える有名なソフトウェアにMopidyなどがあります。
OSをインストールするように統合されたVolumio2、moodeAudio等も有名です。簡単さからいえば、Volumio一択でしょう。

これらはサーバーなので、再生を指示したり閲覧するには別途、クライアントソフトが必要です。
ただ、先程の3つもWebブラウザから操作が可能なので、特別なソフトウェアは必須ではありません。スマホのアプリを導入しなくても、Webブラウザなら入っていますから、操作性はともかく操作することは何ら支障はありません。
簡単にセットアップと性能は3B、3B+、4B
セットアップのし易さ、動作メモリーに余裕を持たせる意味でも、Raspberry Pi 3B以降にした方が良いでしょう。セットアップ時にだけモニターや入力器機を接続するのがそのまま可能です。Wi-Fi接続だけでなく、有線LANケーブルで接続できるのもお手軽です。

もちろん、Zero系でも問題ありませんが、入力のインターフェイス(接続方法)が限られていることと、やはりCPUとメモリーが貧弱なので最初はおすすめしません。


Raspberry Pi Zeroでも音楽ファイルなら快適です。

ハイレゾが最適です。

複数のデバイスで演奏できる
MPDというサーバーの最大の特徴として、仮に再生中だとしても、別のデバイスで再生させることが可能です。
家族パパさんが自室のPCで再生中に、子供さんが別の部屋でスマホで再生、ママさんも台所でタブレットで再生する、といった使い方も可能なんです。
これ、便利だと思いませんか?
・統合されたソフトウェアは簡単。
・Raspberry Pi Zero 系は初心者には少し難しい。
・ロスレス音源とハイレゾアンプHATとならビックリするくらい音が良い。
・統合型ソフトウェアなら設定だけで動作させられる(Sambaのファイル共有サービスも名前とパスワード設定のみ等)
私はコレをやりたくてRaspberry Pi 2Bを購入したのが最初です。
どこにも公開しないメディアサーバー
音楽と同様に動画や写真画像などもサーバーで共有したいと思いませんか?
オンラインのクラウドストレージで活用している人は多いでしょう。あくまでもバックアップ先が一番の理由です。リビングのテレビへ写すことができれば、ストレージはオンラインでも構いません。AppleTVやAmazonFireStick、ChromeCastなどをスマホと連携しても同じことになります。
セキュアなストレージといっても、やはり外部です。個人的な写真画像などは家庭内に留めておきたい。
そこで! ラズベリーパイ+メデイアサーバーの登場です。
スマホで撮影した動画、写真画像を仮にUSBメモリースティックへコピーしたとします。
それをラズベリーパイ+メディアサーバーに差し込んで再生させることも可能です。
この後にご紹介するNAS(Network Attached Storage)に保存しておけば、ラズベリーパイ側には何も保存しなくてOKです。
NASはネットワークHDDのことです。現在は価格も安価な製品が出ています。
例えば、
通常の外付けHDDとは異なりネットワーク経由で設定や操作をします。(※PC等とUSBケーブルを繋げてファイルのコピーはできません×)
このネットワークHDDすらも別のラズベリーパイに任せてあげれば、保存用にUSB接続の外付けHDDで済みます。次の「誰にでも便利なNAS」でご説明します。
メディアセンターOS
ラズパイダではメディアセンター系のOSをたくさん扱ってきました。いくつか種類はありますがLibreELECの一択で良いでしょう。安定性が抜群です。

このメディアセンター系のOSも音楽用MPDと同じく、microSDカードへ書き込んで起動するだけなんです。
インストールというよりも、設定がキモになります。
ネットワークHDD(NAS)と連携させたり、sambaシェアで他のデバイスからも参照したり、再生したり、プラグインの導入でAmazonプライム・ビデオやDAZN、Netflixを再生させることも可能です。


これもスマホで撮影した動画を保存するNASや外付けHDD、クラウドストレージにコピーすれば、リビングで楽しめます。写真も同様ですね。(※クラウドストレージとの連携は初心者には簡単ではありませんよ)
操作はテレビのリモコンでOKです!
テレビのリモコンには十字キーと決定キー、戻るキーでそのまま操作可能なんです。(余程古くないテレビであれば可能)詳しくは「ラズパイ(Raspberry Pi)を使ってできるメディアセンター3選」で触れています。また、専用のリモコンが欲しいなら「Kodi・OSMC・LibreELEC用の格安リモコン」をどうぞ。
・microSDカードでは心許ないのでUSB接続の外付けHDDを繋げる。
・基本は設定のみでイケる。(Sambaのファイル共有サービスは最初から入っている)
テレビの録画?
ちなみに、別の器機で録画した地デジ録画はコピーしても再生できません。コピーアットワンスやらコピー制御があるからです。
LibreELECのメニューにあるテレビの録画(PVR)で録画や再生をしたい場合は、初心者にはとても難しいです。
できることはできます。但し、機材が必要なのことと、有志によるプログラムの導入が必要です。単に録画だけで言えばテレビに付属している録画機能か家電のレコーダーの方が便利で安価でしょう。
少なくても必要なのは、古いB-CAカードとカードリーダー、地デジTVチューナー(コレ→PLEX USB接続型フルセグ対応地上デジタルTVチューナー PX-Q1UD)は必要です。
誰にでも便利なNAS
先程からNASについて触れています。NASと言ってもいわゆるファイル置き場として使うことが前提です。NAS自体に何かさせることもたくさんあり可能ではありますが、先ずはファイルを共有する目的で導入されると良いでしょう。
ファイルの共有だけであれば、Sambaの共有サービスを素のRaspberry Pi OSに入れればOKです。ただ、サーバーとして使うためにも、いくつか便利な機能を使うためにも専用のサーバーOSをインストールした方が簡単です。
そこで! ラズパイダではOMV(OpenMediaVault)をオススメしています。
OMV5からインストール方法が変わりました。Raspberry Pi OS Liteを入れて、そこにOMV5をインストールする方法になりました。

OMV4とある記事は設定などは参考にしてください。インストールは異なります。
ご紹介した記事でも同じように出来た初心者の人がたくさんいらっしゃいました。バージョンによっては読み替えないとならない部分は残っています。順番にこなしていけば、OMV5の導入はそんなに難しくないと思っています。
費用対効果、コスパ
先ずはこのNASの費用対効果です。ネットワークHDDの価格は2万円以下〜3万円以下がエントリー価格になります。HDDの容量は少ない場合です。(2021年現在で2TB等)
一方で、ラズベリーパイで構築する場合は、モデルにも依りますが、ネットワーク速度を重視するならギガイーサネットに対応しているRaspberry Pi 4しかありません。遅くても良いなら3B+もアリですが、比べてみると歴然の速度差です。

仮にラズベリーパイの必要な周辺器機を余っていて持っていたとすれば、本体基板だけ必要です。(7,000円〜9,000円程度)SSH接続で設定するにしても電源アダプターだけは必要なので約1万円+microSDカード代はかかります。
ザッと見積もっても12,000円〜15,000円くらいはします。
これにUSB接続の外付けHDDは必要です。4TBで約1万円でしょう。すると、トータルでは2TBとはいえ、エントリーモデルのネットワークHDDの方が安くなります。
単純なコスパでいえば、出来合いのネットワークHDDも捨てがたい製品です。(一頃はまだラズベリーパイの組み合わせが安かった。遅かったけど)
しかしながら、自分の好みに仕立てられる点ではラズベリーパイの方が有利です。特にUSB接続の外付けHDDが余っている場合や、OMV5はDockerも動きますから、他のサーバー機能を追加したい場合などに魅力を覚えるなら、です。
外付けHDDを共有したいサーバーとしてなら、既存のネットワークHDDで良いと思います。
とにかく家庭内にNASサーバーが1台あるだけで、様々なデバイスから参照できるのは便利ですよ。
複数のデバイスにファイルをコピーする必要性は無くなります。特にスマホは容量があまりありませんので、読む、観る、聴く、といった消費するメディアはNASから参照したいですね。
OMV5のDocker上でWordpressも動かせます。そこでローカル限定のWEBサーバー(WEBではないが)でテスト環境を作ったり、家庭内だけのHPやブログなんてのも人数が多いご家庭なら楽しいかも知れません。
・設定だけで直ぐに使える。
・正直、コスパなら既製品のネットワークHDD
自分だけのWebサーバー
ラズベリーパイのホームサーバー利用の最後に、Webサーバーはどうでしょうか。
NASであるOMV5はDockerが動きます。そこにLAMP環境を構築すれば、Wordpressなども動きます。これは便利です。


外に公開するWebサーバーというのは、現在はセキュリティが心配です。ルーターのポート開放をしないとならないため、最低限のネットワーク知識も必要になります。
昨今は色々と危険が多いので、公開することはあまりオススメしません。

素のRaspberry Pi OSで良い
Webサーバーの環境は(LAMP環境)、ラズベリーパイの基本であるRaspberry Pi OSとmicroSDカードなど基本セットで構いません。
デスクトップ環境にインストールするだけで良いので、通常通りOSとしても使えます。
sambaも導入するわけなので、ファイル共有用にも利用できます。
LAMP環境としてインストールしたそのOSのまま、Webブラウザからローカルを叩けば、ブログシステムなどを表示できます。
通常使っているラズベリーパイで試してみてください。

WordPressのカスタマイズを試せる
ローカル環境でWordpressを動作させられると、自分でカスタマイズする際に気兼ねなくテストが可能になります。
ラズパイダでも一時期はローカル環境でアレコレと試していました。そこで上手くいった事を実際のブログやサイトに反映させるので、エラーに怯えずに新しいことを試せます。
特にDockerであれば、まとめてエイって消せますから、依存関係なども気にせず、アレコレとサーバーにインストールできます。
電子工作やプログラミングと同じように、「習うより慣れろ」でWebサーバーの構築を行ってみるのも、学生さんなどにオススメです。
・サーバーや、そこで動くプログラムの勉強になる。
・特に何も追加の費用はかからない。
・Webサーバーを外に公開するのは危険なのは知っておこう。
OSがLinuxだから
お疲れ様でした。4つの中で気になったホームサーバーはありましたか?
ラズベリーパイは4になってからだいぶデスクトップ環境に近づきました。しかし、基本はOSがLinuxなので実はサーバー系が簡単に構築できます。
しかも、ほとんどは無償で公開されているパッケージを導入するだけ。設定をするだけで使い始められるのが軽便です。
ラズベリーパイ本体も小さいので、好みのケースに入れて卓上や部屋の隅っこに設置すれば全く邪魔にならないホームサーバーの出来上がりです。
サーバーと言っても、想像より簡単にできるのもラズベリーパイの魅力です。
そして24時間365日稼働させるようなサーバーにとって、重要になる消費電力の少なさは最大の利点でしょう。
以上、ラズベリーパイは小さなホームサーバーに最適なのでは?というお話でした。
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