Raspberry Pi OSはbullseyeに更新されてから、一般的なLinuxデスクトップみたいに使えるようになってきました。Debian由来とはいえ、少し古い印象は拭えなかった見た目や操作感も実用的になりましたね。
ただ、OS全体の動作スピードが…と懸念されている人は、SSDドライブで起動させる方法を試してください。
一般的なデスクトップPCライクに使いたい人に向けて、これまでの記事と一緒にご紹介します。
OS、アプリの動作スピードは読み書き速度
Raspberry Pi はmicroSDカードからOSを起動します。起動後の使用もやはりmicroSDカードから読み書しているのは言うまでもありません。
一般的なPCではほとんど目にすることもなくなりましたが、重たいアプリを起動すると、少し待たされることがあると思います。これは読み込んでいる時間です。
読み込みだけではなく、メモリーやCPUの速度も影響します。
Raspberry Pi の場合は、CPUは取り替えられませんし、メモリーも増設できません。このスペックの上限は如何ともしがたいので、最高速はやはり一般的なPCには遠く及びません。
向上させられる手段として2つあります。
- CPUの速度アップ(オーバークロック)
- microSDカードからSSDドライブへ変更する
順番にご紹介していきます。
オーバークロック
CPUのオーバークロックは、デメリットを理解して実行してください。耐久性が心配になる点と、しっかりとした冷却が必要になります。ファンレスでのオーバークロックは性能を落としたり、microSDカードを破損させる恐れがあります。
試してみたい人は、冷却ファンを装備した後、config.txtに書き加えることで適用させます。
sudo nano /boot/config.txt
config.txtの中に#arm_freq=とコメントアウトして書かれている箇所があります。後で分かりやすいようにその下に追記していきましょう。
arm_freq=1800
Raspberry Pi 4の場合、1.5GHzで動作しているので、それを1.8GHzに設定させます。このとき、電圧の設定はイジらずに速度だけ上げた場合です。
Raspberry Pi 400の場合は、既に1.8GHzで動作しています。それ以上の2.0GHzなどへは電圧を変更しないとなりません。
Pi400の登場により、Raspberry Pi 4の新しい製造ロットであれば、1.5→1.8までは安心して上げられるでしょう。
速度の違い
読み書きの速度は製品によって異なります。およその数字で申し訳ないですが一覧にしてみます。
読み取り速度 | |
microSDカード(CLASS10) | 約90〜100MB/秒(もっと遅い場合も有) |
安価なUSBメモリー(USB3.1(Gen1)) | 約70〜100MB/秒(もっと遅い場合も有) |
高速USBメモリー(USB3.1(Gen2)) | 約380〜400MB/秒 |
SSDドライブ(SATA接続をUSB3.0変換) | 約400~430MB/秒 |
読み取り速度は、microSDカードも34MB/秒なんかもありましたし、1,000円以下のUSBメモリーも50MB/秒もありました。
以前にもmicroSDカードとUSB接続に変換したSATAのSSDドライブの数値を、スクリプトプログラムを使ったスコアという形式で比べてみました。
結果は想像以上でしたよ。
microSDカードの総合スコア(読み書き速度)が645、SSDドライブの総合スコアが8011と出ました。
\ 差は歴然の高速化が図れます!/
645 対 8011
Raspberry Piの場合、SATAのSSDドライブといえど、Raspberry PiへはUSB3.0へ変換ケーブルを利用して動作させています。理論値はSATAの方が速くても、USB3.0の速度が上限になります。
400MB/秒と計測された内蔵型SSDドライブ

複数のSSDドライブでおこなったベンチマークテストを掲載しています。
記事のように、Raspberry Piで400MB/秒なら申し分ないですね。
こちらはmicroSDカードも含めて計測した結果です。
簡単に計測できて、海外のランキングページにアクセスできるので試してみてください。
ボトルネックを解消
動画編集などは、そもそもがマシンスペックが必要です。動画編集ではなくても重たい処理を実行すればカーソルがクルクルと回って待たされますよね。
処理内容に依りますが、CPUが不足するのか、メモリーかデータへのアクセス(SSD)速度なのか、全ての項目の場合もあります。
Raspberry Piの場合は、4/400が登場してから、あの価格としてかなり十分な性能になっています。特にArmの統合されたGPUは驚かされます。
しかし、唯一、圧倒的に劣っているのがmicroSDカードで起動・実行する点なんです。
ボトルネックはmicroSDカードでの起動・実行
このボトルネックを解消するのにSSDドライブで起動させると、性能バランスがとても良く感じますよ。
当然ながらOSが実行されている場所の読み書きが高速になるので、すべてのアプリケーションで恩恵を受けられます。
まだの人はぜひ。

※Googleが提供するGoogleスプレッドシートなどのWebベースのプログラムは、SSDドライブ以外にも依存する関係があるため(例:GoogleScript等)速度アップは一概には言えません。
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