オープンソースでマルチプラットフォームで動作する「fre:ac」は、無償で利用できるオーディオコンバーターソフトです。元々は「BonkEnc」という名前で2001年から存在する超老舗のソフトウェアで、2014年に「fre:ac」に改名していました。
2014年11月から2020年6月まで更新されていなかったのに、活発に更新し始め、とうとうmacOSのBig Sur、Mac silicon対応という勢いです。
マルチプラットフォームということは、当然Linuxもなんですけど、Raspberry Pi OSでもバッチリ動作し便利だったので皆さんにご紹介しておきます。どうやらUbuntu版が中心に開発されているようですね。
ダウンロードや公式ページは記事の最下部にまとめて記載してあります。
fre:acはマルチプラットフォーム
「fre:ac」はマルチプラットフォームで主にWindows、macOS、Linux、FreeBSDに対応しています。
Linuxではx86もARMにも対応し、それぞれ64bit、32bitにも対応しています。(Raspberry Pi OSはCPUアーキテクチャはARMです)
WindowsやMacではインストール式ファイルをダウンロードしてインストールすればOKです。

「fre:ac」をRaspberry Pi OSで使う方法は主に2つ。
AppImage形式か、Snappyでインストールする方法です。Snappyはsnapコマンドを使います。
ちょっと聞き慣れないですね。
AppImage
このAppImageの場合は簡単です。先ほどのダウンロードページから「.AppImage」のファイルをダウンロードして実行するだけです。
freac-1.1.3-linux-armhf.AppImage(これは32bit版)
Linuxの場合、Windowsと違い、実行する権限を与えてあげないとなりません。
先ほどの32bit版に実行権を与えます。
chmod a+x freac-1.1.3-linux-armhf.AppImage
chmodはファイルやディレクトリのアクセス権(実行権等)を変更する場合に使うコマンドです。
オプションの「a+x」の「a」は全ての意味、「x」は実行権限の意味です。
デフォルトではWEBブラウザからダウンロードしたファイルは./Downloadに入ります。
先のchmodコマンドを実行した後、「fre:ac」を実行するには以下です。
./freac-1.1.3-linux-armhf.AppImage
実行権限を与えているので、ファイルを直接にマウスでダブルクリックしても起動します。
簡単ですね。

直接実行している
実はこの.AppImage形式というのは、Windowsで言えば、ダウンロードしたEXEファイルを直接実行している状態です。
そのため、ファイル自体を移動してしまうとパスが変わってしまいます。ファイルアイコンをダブルクリックしても起動できます。
そういう使い方なのでインストールした状態とは異なります。インストールしたから要らないファイルとはなりません。(.AppImage)
分かりやすいように専用のフォルダに.AppImageを格納して使うのが良いでしょう。
Snappy

Raspberry Pi OSでもsnapをインストールしてコマンドが使えます。こちらはaptのようにアプリ管理システムとしてSnappyを使うことになります。インストールする形なので、aptと同じように思えますけどかなり変則的です。
SnappyはUbuntuのCanonical社がパッケージ管理システムとして開発しました。
結論からいうと、Raspberry Pi OSでSnappyはあまりおすすめできません。
今回、試してみるとfre:acでは日本語が文字化けしました。

snapコマンド
今後のバージョンアップで対応するかも知れないので、Raspberry Pi OSにsnappyを導入する方法を記しておきます。
sudo apt update
sudo apt install snapd
aptからsnapdをインストールした後、snapコマンドでFre:acをインストール。
sudo snap install freac
実際に使う場合は、ターミナル画面にそのままソフトウェア名です。
freac
これで先ほどのようにfre:acのメイン画面が表示されます。
こんなエラーが出ます。
/bin/bash: warning: setlocale: LC_ALL: cannot change locale (ja_JP.UTF-8)
localeをイジってみても変わりませんでした。画面表示にgtkが使われているのでそのせいか、Dockerのように仮想的に実行されているからなのか、そもそもsnap形式の開発段階でのlocale問題なのか、適格な理由が見つかりませんでした。
別途にフォントを入れても意味はありませんでした。
そもそもlocaleの設定は合っています。個人的にはバグとして諦め、snapコマンドの場合は、fre:acの設定画面から言語を英語に変更して使うしかないですね。
日本語もバッチリ
流石に長い歴史があるだけに日本語化もバッチリ対応済みです。普通に使う分には何ら問題ありません。(※snapでのインストールでは文字化け)

画像は途中で切れています。100%翻訳済みの言語をざっと数えても25言語ありました。
英語が苦手な人には日本語表示は有り難いです。.AppImage形式は日本語で快適に利用できます。
バグは多い
クラッシュします。ええ、落ちます。とは言ってもバグなので特定のパターンだけです。
それにAppImage形式で使う場合は、macOS版との比較でRaspberry Pi OSでは安定していました。

私が経験したのは読み込むファイルを条件指定して開くという場合に落ちました×3。ただ、これはmacOS版です。他にもファイルをドラッグ&ドロップしようとすると、なかなか受け取らないで2テンポくらい遅れました。
Githubを覗いてみると、4、5ファイルのエンコードでクラッシュしたともあります。(Windows10版)
この辺は各自使ってみて確かめてください。皆さんがフィードバックすれば徐々にバグは減っていくでしょう。(ごめんなさい。Windows10ではまだ試していません)
変換出来た
なんだ、バグばっかりでつかえねーじゃん?
いやいや、AppImage形式で実行すれば、そこまで醜くありません。実用的です。
それに無料で使えるマルチプラットフォームのソフトウェアは貴重です。
バグが出た場合も何度かトライしてエンコードは出来ましたよ。macOS独自のm4aからmp3へもできました。
どうやらFLACやm4aといった可逆圧縮音声ファイルフォーマットだとバグる確率高いような印象でした。テストとして50ファイルくらい小分けに試してみたところ出来ましたけどね。
まぁ、バグはなんでもつきものです。
個人的に音楽ファイルは随分前からFLAC形式で再生させています。これまでCDからリッピング&エンコードするのに「XLD」を使っていました。今後はこの「fre:ac」の方が良いかも?
※XLDは新しいmac silicon版ではまだ動作しません。
マルチコーデックで相互エンコード
この「fre:ac」は、多くの主要なオーディオコーデックに対応しています。

- MP3
- M4A/AAC
- FLAC
- WMA
- Opus
- Ogg Vorbis
- Speex
- Monkey's Audio (APE)
- WavPack
- WAV
しかもこれらを決まったパターンではなく相互に変換できる優れものです。
昔みたいに追加でコーデック入れなくてもOKなんです。
フリーの楽曲データベースにも対応
音楽CDのリッピングをしたことがある人はご存じの「freedb/CDDB」に対応しています。GNUdb CDデータベース「gnudb.org」です。
実は有名な「freeDB.org」がちょうど2020年3月に終了してしまいました。その後継にいくつかありまして、海外だと「MusicBrainz」なんか有名です。
この辺は私は専門ではないのでこの辺にして…。
とにかく、日本語の楽曲もちゃんと取得できますよ、ってことです。
ラズパイでもLet'sエンコーディング
動画(Video)全盛の時代で音楽などのオーディオエンコードはあまり容量も食わず、一般的なPCやラズパイのようなSBC(シングルボードコンピューター)でも扱うのが楽になりました。
有料でも仕方ないレベルの機能が無償で使えるのは助かります。オープンソースならではですね。
ラズパイでも音楽を扱うのは容易です。バグは多いとはいえ、このソフトウェアで好きな形式に変換して個人で楽しんでください。
気になるオープンソースのソフトウェア「fre:ac」でした。
参考: