microSDカードへOSイメージファイルを書き込むツールソフト「Raspberry Pi Imager」で、OSリストが更新されていました。あれ、jsonファイルで時々アナウンスなしにアップデートされています。
ユーティリティイメージ内に「PINN」が追加されていました。
PINNは”PINN Is Not NOOBS”の略みたいです。NOOBSv1.9を元に開発されているため、見た目も使い勝手もNOOBSです。NOOBSのカスタマイズ版といった感じでしょう。Raspberry Piオフィシャルではありません。
RaspberryPi用の拡張オペレーティングシステムインストーラーで基本はNOOBSと同じでも、更に高機能で使いやすいインターフェイスを備えています。
OSのマルチブートをPINNでも試してみました。
Raspberry Pi Imagerから書き込む
PINN自体はRaspberry Pi Imagerで書き込みました。小さいプログラムなので一瞬で終わります。

書き込まれたmicroSDカードで起動した後、もしもWi-Fiで使うなら、最初に行うのはWi-Fiへの接続です。

PINNのメリットとデメリット

Raspberry Pi Imagerの登場により、NOOBSは一定の役割を終えました。NOOBSは公式ページのダウンロードセクションにもうありません。
Raspberry Pi Imagerも同じOSのインストーラーです。ただ、少しアプローチが異なります。Raspberry Pi Imagerはインストールするツールソフトです。母艦が必要です。(他のマシンが必要)
NOOBSとPINNはmicroSDカードから起動させます。母艦が必要ありません。
OSを選択してインストールできる点や、インターネット経由でOSをダウンロードしてくるなどの基本性能は同じです。
OSをダウンロードしてからインストールするのは同じでも、読み書きが遅いmicroSDカード上で行うため、かなり時間がかかってしまいます。
想像を超える時間です!
ファイルサイズにもよりますが、16GBに3つのOSを入れた場合でも、約2時間弱もかかります。
主なメリット | 主なデメリット |
---|---|
他のマシンが必要ない OSブートセレクターがある | OSインストールに時間がかかる |
PINNでインストールできるOS
今回、Raspberry Pi Imagerから書き込んだPINNでバージョンが3.8.3でした。
OSが何か分からない場合、上部メニューのinfoボタンを押すと、ブラウザが立ち上がって、選択したOSの公式ページを表示してくれます。どんなOSかある程度は分かるでしょう。

OSは最初、ジャンルごとにタブ分けされて表示されます。
収録リストは次の通り、32bit/64bitのバリエーションがあるため多く見えます。中には3B用もありましたので気をつけてください。
なお、Minimalはデスクトップがありません。コマンドUIです。
General
- Raspberry Pi OS Full 32bit
- Kali Linux Full 32bit
- Raspberry Pi OS 32bit
- Raspberry Pi OS 64bit
- RISC OS
- TLXOS
- linege OS(17〜19)
- Twister
- Ubuntu2010
- Ubuntu2110
- Ubuntu MATE 2010 64bit
- Ubuntu MATE 2110 64bit
- Ubuntu MATE 2110 32bit
Minimal
- Arch4
- DietPi 32bit
- DietPi 64bit
- Raspberry Pi OS Lite 32bit
- Raspberry Pi OS Lite 64bit
Testing
- debian64pi4
- Raspex4
Games
- batocera RPI4
- recalbox7-rpi4
- Recalbox Pi4
- Lakka RPi4
- Lakka RPi4 64
- Retropie4
Legacy
- Raspberry Pi OS old_stable
- Raspberry Pi OS Lite old_stable
Media
- Volumio
- LibreELEC RPi4
- moode
- OSMC Pi4
- piCorePlayer
- piCorePlayer 64
- XBian_RPi3
Utility
- Data Partition(データ用パーティション)
- ProjectSpace -1〜8(予約用OSパーティション)
※リストは記事執筆時点の情報
OSのインストール
OSを選択してからメニューのインストールボタンを押すことで、インストールが開始されます。
先ずはOSのダウンロードから始めるため、かなりの時間がかかることは覚悟してください。


日本語表示を選べるというのもあり、操作もシンプルなので迷うことはないと思います。
空き容量に気をつけよう

microSDカードの容量が少なければ、OSマルチブートしたくても、いくつもインストールできません。必要な容量が赤字になっていると書き込めません。
ちなみに、PINN自体は60MBくらいしか使用していません。
ブートメニュー
複数のOSをインストールすると、PNNでOSを選択して起動できるブートメニューが表示できます。
起動時、左上にメッセージが点滅します。(デフォルトで10秒間)
このとき、SHIFTキーでPINNの設定画面へ入れます。マウスをクリックすることでブートメニューが表示されます。何もしなければ、デフォルトに設定したOSが自動的に立ち上がります。
- SHIFT → PINNの設定
- マウスクリック → OSのブートメニュー

PINNはNOOBSより高機能
NOOBSを使ったことのある人なら直ぐに感じてもらえると思います。かゆいところに手が届くような便利さがありました。
役割はNOOBSと同じでも、細かい部分がよく出来ています。特にconfig.txtとrecovery.cmdlineを簡単に編集できるオプションが便利です。


NOOBSでもそうだったように、テキストを書き込むことで反映させます。改行できない、スペルミスなど書式を間違えられませんから、選ぶだけで記述してくれるオプション画面はスゴイ助かります。
PINNの使い勝手
PINNはNOOBSの代わりに使えます。それ以外にも、OSをマルチブート化させるため、知らないOSを試用する目的などで使えます。
Utilityにあるデータ用のパーティションと、プロジェクトスペースというのが秀逸です。

データパーティションは、空の512MB領域を作ってくれます。複数のOSをインストールした時に、それぞれのOSからこのパーティションをマウントして共有のデータ置き場として使えます。
プロジェクトスペースは、パーディションとして分けておくことで、後から別のOSをインストールすることが可能になります。予めスペースを確保しておくため一種のダミーのような存在です。
ブートローダーでOSを選べるようにしたまま空の領域を確保してくれます。
通常だとOSのインストール時に、ドライブ内の全てのスペースを使い切ってしまうためです。パーティションの容量などは融通が効きませんが簡単な仕組みですね。
マルチブートさせるのに、以前はBerryBootもご紹介してきました。PINNはマルチブート用としても使えます。
PINNで気軽にOSを試してみましょう。
複数のOSをインストールするのに64GB以上を使うと、3〜4つのOSを入れても作業領域が残るので安心です。