初心者にはNOOBSでRaspbianを導入することをオススメしてます。これはラズベリーパイ財団が用意しているだけあって、これまでのPC/Macの知識だけでインストールが可能だからです。慣れてきたり、そもそも基本的なことは知っている人は、NOOBSはスルーして良いでしょう。
全く初めての人にオススメしているため、たまにどのようにバージョンアップしているのか気になり試してみることがあります。
今回、選択でインストールできるOSについて改めて取り上げたいと思います。
ちなみにダウンロードやmicroSDカードへの準備などは、Raspberry PiにNOOBSでOSをインストールする方法やNOOBSはLiteをダウンロードすべし!などでも触れているので良かったらご覧ください。
2020年3月、公式から専用の書き込みツールソフトがリリースされています。NOOBSとbalenaEtcherを足したような機能と使い勝手です!
今後はこちらがスタンダードになり、NOOBSは以前の方法になります。
Windows版、macOS版、Linux版とあります。もちろんRaspberry Pi OS用もあるマルチプラットフォームのツールソフトです。
現在NoobsでインストールできるOSは10種類
今回ご紹介するバージョンは3.2.1で2019-09-30版です。以前の記事ではv2.8でした。インストールで選択できるOSは10種類となり、これまでより1つ増えています。ただ、Raspbianが3つのイメージに分けられたために1つ増えてに過ぎません。
- Raspbian Full
- LibreELEC_RPi2
- Raspbian Lite
- Raspbian
- OSMC_Pi2
- Screenly OSE
- RISC OS
- Windows10 Iot Core
- Lakka_RPi2
- TLXOS
この中の1、3、4はRaspbianのイメージ形式の違いです。また、緑文字の上位2つだけがローカルにファイルが存在しています。
NOOBSフォルダの中にOSフォルダがあり、中を見るとLibreELECの各ラズパイ向けとRaspbianのフルバージョンだけが見つかります。

結局、他のOSはNOOBS_Lite同様にダウンロードしてインストールする形になります。
Raspbianのフルバージョンに限っては、複数台のラズパイにインストールしたい場合に毎度ダウンロードする必要が無い点だけが利点です。他のOSは結局ダウンロードしなくてはなりませんから、その点ではあまり意味がありません。
NOOBSの利点は、簡単であることです。
microSDカードを用意してNOOBSの中身のファイルをドラッグアンドドロップでコピーするだけで準備が完了する点が、全くの初心者にはありがたいことです。小さなお子さんなどでも問題無く準備できるレベルです。
ある意味で手間なのですが、コピーすればいいという考え方がシンプルです。
もっと言うと、既にNOOBSがコピーされているmicroSDカードがあれば、何も用意する必要はありません。「プリインストール済み」などの表記があるラズパイのセット品も多数見受けられます。
インストール時間は長い
Raspbian Fullは初めからNOOBSに用意されているとは言っても、インストール時間はかなり長く感じます。いえ、長いです。
実測で約1時間かかります。
これは転送速度が表示されていて、約1.9MB/秒です。
イメージから書き込んだRaspbian Full版は長いと言ってもこんなに時間はかかりません。
ダウンロード自体も回線速度によってはかなり長くなります。ダウンロード&インストールはトータルで2時間程度を見込んでおかないとなりません。
初めてではないなら、イメージファイルをダウンロードして、Etcherで書き込む方法を選ぶべきでしょう。※あくまでもNOOBSは全く分からない人向けに用意されたものです。
NoobsでインストールできるOSの紹介
先程も書いたように1、3、4はRaspbianのイメージ形式が異なるバージョンですから、すべてRaspbianと言えます。
参考記事:Raspbianがバージョンアップして全部入りが登場!
- Raspbian Full(Raspbianノーマル、Lite)
- LibreELEC_RPi2
- OSMC_Pi2
- Screenly OSE
- RISC OS
- Windows10 Iot Core
- Lakka_RPi2
- TLXOS(30日間体験版)
LibreELEC_RPi2もこのサイトでは何度もご紹介しています。OSMCも同じで、どちらもメディアサーバーにするため、コアの部分はkodiが使われています。好みの問題もありますので、お好きな方を利用して問題ありません。
主にAmazonプライム・ビデオを観る方法をご紹介してきました。
- LibreELECの参考記事:Raspberry Pi とLibreELEC9.0で作るAmazonプライム・ビデオプレイヤー
- OSMCの参考記事:OSMCでAmazonプライム・ビデオを観る!方法
Screenly OSE
Screenly OSEも既にご紹介しています。
参考記事:Screenly OSE(無料版)は簡易的なデジタルサイネージとしてはOK
デジタルサイネージを体験するにはもってこいのシステムです。出来ることが少ないため本格的に使うには有料版がサブスクリプションで用意されています。
個人利用では現実的ではありません。一番安いブロンズ契約でも月額US$ 29.95です。
もしも自営業などをやられているなら導入したいところですが、現在の日本でも月額1万円前後からのサービスも存在するため、自前で用意する手間を考えると同等かも知れません。
当然ながらハード(ディスプレイ、Raspberry Pi などのセットボックス)の費用が別にかかります。
RISC OS
RISC OSは一言で言うと日本でのPC98シリーズといった往年の名機に搭載されたOSを再現する形のOSで、あまり実用性はありません。懐古主義とまでは言いませんが、学習用に用意されているか、イギリスのBBS BASICといったプログラム言語やOSの開発などの参考になっているのでしょう。
現在もいくつか派生され開発されているものの、32ビットということもあり今後はRaspberry Pi でも難しいかも知れません。
見た目はなんとも懐かしい感じです。
Windows10 Iot Core
これはWindows10ではありません。従って、皆さんが良くご存じのWindowsではなく、Iotに特化したWindows系の仕組みを表現したOSとなります。

既定では、Windows 10 IoT Core デバイスは、デスクトップのような PC ではなく、既定のアプリを起動します。
Windows 10 IoT Core の既定のアプリの概要など
Windowsのプラットフォームを利用した独自のIotアプリを作成して実行させることが目的と言えます。
個人的にはWindowsXPや2000で時が止まっていますので、あまり詳しくありません。ごめんなさい。(Windows2000は良かった・・・)
Lakka_RPi2
Lakka_RPi2は、Retropieと同じゲームコンソールの振る舞いをするOSです。Retropieが有名なのでまだ未体験の人も多いでしょう。
RetroPie は EmulationStation というフロントエンドでとてもグラフィカルです。一方でこのLakkaはプレステのメニューなどと同じように文字ベースです。

リッチなインターフェイスであるRetropieに対して、とてもシンプルで軽快な動きです。設定の項目などは表現の仕方に少しクセがありますから、慣れないと分かりにくいでしょう。
TLXOS
これは体験版です。仮想デスクトップ化(VDI)を実現します。シンクラインアントです。
30日間試用できるアメリカCitrix社のシンクラインアント環境で使うOSです。専用のハードもリリースされています。(RX-HDX:日本代理店ネットワールド)
バックエンドであるXenDesktop/XenAPPの環境などが必要なため、個人用途ではあまり一般的ではありません。
主に中小規模〜大規模向け法人ではこれまでと異なり、電気代なども考慮するとかなりのコストダウンになるでしょう。
IT企業でなければ、XenDesktop/XenAPPは全くご存じないと思います。例えば、大手のホテルチェーンなどではフロントシステムに使われていますが、中身を知ることはあまりないと思います。
遠隔地のサーバーで稼働しているアプリケーションを共有して使えたりします。(XenAPP)そのため、クライアント機はwebに繋がり速度さえ安定すれば良いのでハイスペックなマシンは必要ありません。
仮にクライアント機がトラブルに遭っても容易に切り離せますし、代替機ですぐに作業は継続可能です。個々にイジられてもサーバーには影響させずに、セキュリティ対策としても便利です。
個人や家庭レベルでは、仕組みを用意するのは大袈裟でしょう。何よりもCitrixは高い・・・。
小規模事業所でも使用ユーザー数によっては、個々にマシンを用意したり、すべてにアプリケーションを用意するよりは一元管理ができ、アプリケーションのバージョンアップもバラバラになることもありませんから、使い方によっては費用対効果はあります。
個人的な経験では、まだPHSがあった頃、データ通信64Kで遅いながらもXenAPPで社内のオフィスアプリや高価なアプリケーションを利用でき、社内のシステムにログインできるので便利でした。確かにアプリケーションのバージョン管理などは楽でしょう。
Raspberry Pi ではなくても、社内のオフィスソフトなどはこの形が望ましいと思います。
NOOBSのTLXOSはクライアント側にインストールするOSとして試用できるようになっています。しかし、アプリケーションサーバーであるThinLinX TLXOSがないと意味がないため、すべて無料というわけにはいきません。法人でCitrixの導入を検討されるなら、一度試してみてください。
メリットは消費電力
一番大きいメリットは、PCだと300〜500Wの電源ユニットになりますが、Raspberry Pi で構成すれば5Vの電源アダプターで足ります。
Raspberry Pi は3B+でも5V2.5Aで12.5Wの電源で、消費電力は約5Wと公称されています。
300〜500Wの電源ユニットだと80%だとしても400Wはかかりますから、電気代はとても魅力的ですね。(計算違ったらごめんなさい)
他のマシンが要らない
NOOBSの最大の特徴は、条件によってRaspberry Pi の他に別のマシンの必要がありません。
もちろんダウンロードから始める場合は必要になりますが、仮にNOOBS入りのmicroSDカードがあれば、ただRaspberry Pi にmicroSDカードを差して電源を繋ぐだけでインストールとセットアップができます。
それならイメージファイルを書き込んだmicroSDカードでも同じじゃないか?と言われそうですが、一応はOSを選べるという意味でNOOBSの存在価値があります。
何枚もOSイメージを書き込んだmicroSDカードを用意する必要がありません。
ネットの環境には左右されるものの、OSをインストールする総合メニューなのがNOOBSです。
時間こそかかりますが、これら用意されたOSをインストールする目的だけでも、取りかかる敷居も低くなるのではないでしょうか。
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