先日にお伝えしたRaspberry Piの買取プログラム「リユースPi」を手掛けるNewLifeNewDesing代表の瀬川氏にもう少し詳しくお伺いしたくインタビューをさせていただきました。
NewLifeNewDesingは和歌山県白浜町でRaspberryPiをはじめ主にPCのハード販売を扱う会社です。小規模ながら、RaspberryPiだけでも年間1万台以上を取り扱っており、教育機関や各種団体にIT関連機器を販売しています。
ご存じのようにこのサイト「ラズパイダ」のスポンサードもしていただいており、幾度となくプレゼント企画に協賛していただいております。
→ 過去例: みてみて!ワタシのラズパイ、ラズパイダ2周年記念、各種クーポン配布など。
代表の瀬川氏からRaspberry Piの中古買取販売を始めると伺い、それは面白い!と興味が沸いたので、先日の記事でリユースPiについてご紹介しました。
そのお話をお伺いしていると、是非ご紹介したい内容がいくつかありましたので、改めてお時間をいただき、インタビューをさせていただきました。
瀬川氏のお住まいが、私はこれまで縁がなかった和歌山県白浜町ということもあり、お話の最後には白浜町に住みたいな・・・と、ちょっと意外な感想も踏まえ、ここでご紹介させていただきます。
実際にラズパイダが和歌山県白浜町まで訪ねてインタビューをしてきました!
【スポンサード:NewLifeNewDesing】
どうして買取販売なのか
ラズパイという小さなカテゴリーだけの中古買取販売は、PCのパーツと同じように今後は増えていくのかも知れません。ある程度リスクもあると思いますが、どういう切っ掛けがあったのか伺いました。

まず大前提として、どうして買い取ることを始めようと思ったのですか?
そもそもは保守用(メンテナンス用)を確保したかったというのが動機です。

まとまった数が欲しい、ということですか?
旧モデルだと仕入れたくても在庫が無いモデルも出てきたり、数が揃わないことも多く、人気があるモデルはすぐに売り切れてしまうため手元に残らないのです。不具合が出た時に対応できないと困りますから今後は必要だなと思いました。
それに中古でもいいからと仰るお客様もいらっしゃいました。

確かに現在の市場では、一時的だと思いますが3B+やZero系は見かけませんね。生産が間に合っていないのでしょうね。それに価格も高くなりましたよね。
それと、やはり不具合での返品や問い合わせが多いのですか?
幸いなところラズパイ4はまだありません。ラズパイ3B+の頃はとにかく初期不良の率が多くて困りました。また、電源のコネクタの破損やmicroSDカードスロットのロックが効かなくなったりと一時期は同じようなお問い合わせが多かったです。

学校へ寄贈すると伺いましたが、それはどういった経緯がありますか?
主に小学校なのですが、お子さんというより学校関係者(先生)が予算の都合でラズパイまでは回らない様子でした。今後、販売していくためにも先ずは使っていただかないとラズパイの良さも伝わりません。
中古とはいえ、キチンと動作保証してまとまった数をお渡しして使っていただければ、認知度も高まるのかなと思いまして、小さく始めてみようと思っています。

小学校以外にも相談されたりしますか?
NPO法人の方とも交流がありまして、やはり需要はあるのかなと思っています。
単純にラズパイを使ってお子さんへ教えるような団体へ優先的に寄贈できればと思っています。
主に保守用パーツの在庫として確保するのが切っ掛けとはいえ、寄贈などから社会福祉活動の一環のお考えには共感します。是非、進めてもらいたいですね。
2020年からプログラミング教育の必須化もありますから、もっとラズパイが有名になって欲しいというのは私も同じですね。
どうやって再販売するのか

そもそも中古で買い取ったRaspberry Pi はどのように販売するのですか?
再販売がメインではなく取り組みますが、先ずは自社で保有して、学校などへ寄贈し、それでも数が集まれば小売りもしていきます。

ラズパイは他に比べて単価は安い方なので、あまり儲けはないですよね。
正直なところ、小売りでの中古販売では儲かりません!
裾野を広げるという意味で継続して、次は新しいラズパイを購入していただければ・・・と思っています。
ただ、産業用途では組み込み系が多く、まとめてのご希望があるので、そういうお話に今後はラズパイ4などの最新モデルではなく、古いモデルもご案内できると思います。そんなにスペックが要らないこともありますから。
いちユーザーとしては、古いモデルが手に入るのは楽しみです。一部、オークションサイトなどでも見かけますが、なかなかありませんからね。初期の1Aや1Bなどは触ってみたいですし、市場に少なくなったモデルが購入出来ると嬉しいですね。
教育への想い

元々は有名な企業で働いていたとお伺いしました。
現在はゆったりとしたお仕事とプライベートのようですが、お話の中で教育のキーワードがよく出てきます。どうしてでしょうか?
ええ、前職ではセキュリティ業界だったのですが、CSR(企業市民活動)の一環として、学校などの教育機関へ子供たちがITを使う上でのセキュリティやプライバシーの意識を向上させる啓蒙活動を長く続けていました。
自分としてはITと教育というのはライフワークと考えていまして、教育に適したラズパイの販売をメインに扱っているのもそういう想いからなんです。

なるほど。やはり子供達に関わるお仕事だったのですね。
今のラズパイはマニアの人にウケていたり、産業用途が大半を占めているとしても、元々はプログラミング教育や電子工作を安価にできるようにしたことで人気が高まったわけですからね。
そこは私も同じ想いです。
様々なご意見があると思いますし、理想論だけになってはダメですが、初歩的なことを学ぶには確かにラズパイは適していると思います。
仕事にする手段は多々ありますが、そういう想いがないとなかなか続きませんからね。色んな意味で前職での経験が役に立っています。
確かにお金儲けは大事ですが、それが目的になってしまうのはつまらないなと私も思います。ビジネスで何か誰かの役に立つことはプライスレス!だから商い(=飽きない)ですよね。
また、和歌山県白浜町で活動されているので、やはりIT企業を誘致している環境も強みなのではないかと思いました。既に和歌山県内の一部では、他県に先駆けてプログラミング授業がモデル校として実施されています。
和歌山県は、白浜町におけるふるさとテレワーク事業の成功を受け、テレワークを活用して地域に中長期的に滞在しながら都市部の仕事を継続し、同時に地域でしかできないことも行うワーケーションを推進しています。
テレワークとワーケーション促進で、目指すは白浜の“シラコンバレー”化(総務省)
ワーケーションは、仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせた欧米発の造語ですが、休暇は観光等のエンターテインメントに限定せず、地域でのボランティア活動や研修、オフサイトミーティング、地域主体との交流等のより広義な活動を含むと解していて、和歌山県は交通・通信インフラ、研修施設、観光地等のワーケーションに必要な要素を幅広く、高いレベルで有しています。ワーケーションを通じて当県の魅力をより深く知っていただきたいと思っていますし、ふるさとテレワークのお試しとしても活用いただきたいと考えております。
それなりに教育現場でも興味が高まっているのでしょう。
しかし、シリコンバレー化って・・・そんなに??
Raspberry Piについて思うこと

率直にRaspberry Pi についてお伺いします。
最近はどう思いますか?
ラズパイを販売していてアレですが、Raspberry Pi 4(4GB)はちょっと高いですよね。
どうしてメモリー搭載の異なる3モデルの展開にしたのかなと思います。1GBモデルだとCPUやデュアルディスプレイ等の性能とのバランスが悪いように思います。
何となく定価35ドルに縛られているように思います。
2GBモデルと4GBモデルは倍も違うのに価格差は僅か10ドルです。1GBのメリットがあまり無いような気がします。

ええ、私もそう思っていました。
3つのモデルを用意しても蓋を開けてみたら4GBモデルが圧倒的に需要があったわけですが、予想できなかったのかな?と。
それに3B+や3A+はなんとなくスペックのバランスが悪いなと、中途半端な印象を受けます。
唯一、電源がUSB3.0Type-Cになったのは良かったなと思います。
かなり電源周りのトラブルは減るのではないかと期待しています。
発熱に関する問題はフォームウェアでほぼ解決しています。

個人的にはデュアルディスプレイはmicroHDMIにするほど必要なのかな?と思いますね。
正直、要らないですよね?

要らないですね・・・。
今回のラズパイ4のリリースから性能アップは大歓迎ですが、少し違う方向に向かっているように感じます。
今後の展開として

2020年からはまた違った活動をされる予定はありますか?
ラズパイ一式を貸し出すシェアビジネスはどうかな?と思っています。
ラズパイは基板だけではどうにもなりません。すべて一式を揃えるとなると費用も掛かるうえに何台もとなると周辺機器の数も多く大変です。
世の中にイベントで貸し出す機材があるように、ラズパイもリースや一時的利用も必要では無いかなと思っています。

そうなると今以上にラズパイが一般的に利用されないとなりませんね。これまではそれなりの価格でしたが、ラズパイ4などは利用の仕方やシェアする費用によっては研修や教育、一時的に実施するセミナーなどで便利かも?
日本でも何かのサービスや仕組みで組み込まれる基板がラズパイという例も増えてきました。それでも海外に比べるとあまり見かけません。
組み込んだ製品のシェアなら需要はありそうな予感はします。
そのくらいラズパイが趣味の範囲だけではなく、世の中で一般的に利用されれば、ビジネスとしても成り立ちますね。
・・・そして、私のようなサイトもより一層読まれる?ならば嬉しい!
インタビューを終えて
瀬川氏は元々、和歌山県が地元ではなく他県から移住されてきたそうです。ご存じのように和歌山県は国の推進するテレワーク事業に選ばれているためITCを活用した企業誘致が盛況です。国内外の有名企業がサテライトオフィスを構えており、IT化に積極的な県になっています。
最近、耳にする「ワーケーション」に代表されるように、自然が多い県内では仕事と生活のワークライフバランスを実現しやすい環境になっているそうです。
私も知らなかったのですが、白浜町は大都市大阪よりも東京に出るのに便利なんです! 南紀白浜空港から羽田への直行便が出ており、東京まで2時間圏内で移動できます。
それなのに和歌山県白浜町は豊かな自然と美味しい食べ物に恵まれ、何よりも温暖な地域というのがワーケーションに合っていますね。温泉もある!!
瀬川氏自身も海を眺めながらお仕事をされている環境で、お子さんと奥様と楽しく暮らしているそうです。う・羨ましい!

何がどうなるのか予測もできない世の中ですが、楽しく触れることができる小さなコンピューターのRaspberryPiが、ITを推進している和歌山県のみならず、スマホのように当たり前になると日本も変わるかなー?と感じました。
私も趣味の延長で始めたこのサイト運営も、誰かに何かが届けばいいなと想って更新しています。今後も色々な方にスポンサードしていただけるよう、マニアックでありつつ、分かりやすい情報、興味深い情報を更新していこうと思います。
——リユースPiについてお伺いしたのに、和歌山県白浜町に住みたいなと思ってしまうようなインタビュー時間でした:)
NewLifeNewDesing代表の瀬川氏、リユースPiのインタービューにお付き合いしていただき、ありがとうございました。
※2020年末にラズパイの買取プログラム「リユースPi」は終了いたしました。ありがとうございました。
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