昔はRaspbian、今はRaspberry Pi OSと表記だけが変わりました。Raspberry Pi 公式のOSをインストールするには、これまた公式で用意されているRaspberry Pi Imagerで以前よりも簡単になりました。
初心者にはOSを準備することも難しい、ということなので、不安を無くしてもらおうと思い、Raspberry Pi Imagerを少し細かくご紹介します。
アプリケーションが公開された時に書いた記事

ツールのダウンロード

初めにRaspberry Pi Imagerから入手します。
各OS毎に用意されています。(Windows、macOS、Ubuntu)
ラズパイをセットアップするのに別のマシンが必要です。よく、母艦と言い表します。今回はmicroSDカードへOSのイメージファイルを書き込むだけですから特に性能は求めません。
記事の後半部分で、Raspberry Pi Imagerのメニュー画像を並べてみます。
統合型のソフトウェア
Raspberry Pi Imagerは、単にmicroSDカードへイメージファイルを書き込むツールではありません。
イメージファイルを自動的にダウンロードしてmicroSDカードへ書き込めます!
つまり、ファイル操作は必要ありません。これまではダウンロードしてからmicroSDカードへ書き込むソフトで行うツーステップが最短でした。これを1つで完結できるので、難しいコトがまた減ったわけです。
各項目には、オンラインでサイズが何GBか表示もされています。それに想像よりも速くダウンロードできている印象があると思います。
各OSの公式サイトから適切なOSのイメージファイルを探し出す手間も考慮すれば、更に速くmicroSDカードへ書き込めますよ。
NOOBSの役割
同じダウンロードページには、NOOBSもこれまで通りに存在しています。これは今となって考えると、Raspberry Pi Imagerと丸かぶりの存在です。
オンラインでダウンロードする点も同じなものの、予め通常版Raspberry Pi OSがプリインストールされているため、ネットに接続していなくてもインストールが可能な点がありました。
また、NOOBSを用意するmicroSDカードへは、単にファイル群をコピーすれば良い点が全くの初心者には有効でした。
少し特殊な立場になっているNOOBSは、当サイトでも何度か取り扱っています。使いたい場合は参考にしてください。
Raspberry Pi Imagerのメニュー一覧
全てを俯瞰できた方が分かり易いので、画像キャプチャを作ってみました。
こちらがメニューの一覧です。
公式のRaspberry Pi OS、メディアサーバーのLibreelec、人気のUbuntuServer、レトロゲームコンソールのRetropieと、EEPROMリカバリー用のイメージファイル、消去&フォーマット、そして他のOSをインストールできるメニュー構成です。

Raspberry Pi OS
通常のRaspberry Pi OS(32bit)、Lite版、フル版と選べます。

今後はここに64bitがラインナップする予定です。
Libreelec
メディアサーバーとして私もバリバリ使っているLibreelecは、ラズパイのモデル毎にイメージファイルを選べます。

Raspberry Pi Zero WHではちょっと厳しい・・・と思うので、動画となれば3B、3B+、4で構築してください。
動画などのメディアファイルをUSB接続のHDDから選択する場合は、Raspberry Pi 4がオススメです。USB3.0接続の恩恵を受けられます。
仮に本体microSDカード内、または他のファイルサーバーから再生する場合は、3B+がオススメですね。
いずれにしても、消費電力が低いラズパイ各モデルですから、常時起動させておいても心配ありません。現に、自宅のLibreelecは再起動こそすれど、電源を3年は外しませんでした。全くもって快適です。
Amazonプライム・ビデオも構築できるから、FireTVスティックは押し入れへ片付けました!
実はLibreELECには専用の書き込みソフトが別にあります。LibreELECに限りこの専用ソフトでも良いでしょう。
LibreELECでAmazonプライム・ビデオ、DAZNもNetflixもプラグインの導入で観られます。導入には少し厄介なので参考にしてください。

Ubuntu(Server)
ラズパイでUbuntuも動きます。
しかし、誤解されるので、改めて書いておきます。
Raspberry Pi 用のUbuntu Serverが動きます。つまり、通常のままではコマンドのみのターミナル画面しかありません。
ここにGUIの環境を追加でインストールすることで、Ubuntuを実現しています。皆さんがご存じのUbuntuがそのまま動くわけではないので誤解しないでください。

とはいっても、ラズパイ用arm版のUbuntuと同等という認識で構いません。
メニューにあるUbuntuCoreというのは、まさにコアであり、デスクトップとして使うのではありません。デスクトップPCライクに使いたい場合は、Ubuntu20.04LTSを選んでください。32bit版と64bit版があります。
ラズパイの基板自体は64bitです。64bitを選べばマッチしますが、全てのアプリケーションが対応しているとは限りません。汎用性を活かすなら32bit版が良いでしょう。私のような素人には違いは分かりづらいので、いつも64bitで試しています。
次はUbuntuの種類の1つMATEを当時にインストールした記事です。このときはまた正式に対応していませんでした。
2020年に本家Ubuntuが20.10へversionアップしRaspberry Piに対応したことで、MATEの方も対応しました。
これで益々、Raspberry Pi にUbuntuをインストールし易くなりました。
Retropie
レトロゲームコンソールとして有名なRetropieもラズパイのモデル別にダウンロード可能です。Raspberry Pi Zero Wでも快適に動いてしまうので驚きます。

問題はゲームのROMに関して、日本ではどうしようもないため、財団がこれを推奨する意図が私には理解できません。もちろん、著作権フリーのゲームで遊んだり、自作のゲームを走らせるのには有効だと思います。
体験版「THIN LINUX」
30日間体験できるシンクライアントOS「THIN LINUX」です。Ctrix社のでしょう。
これをインストールしたラズパイからメインのサーバーへ接続して使うためのOSです。

ビジネス用途で検討するものですから、個人ユースではあまり必要ないかも知れません。
ユーティリティ

現在、ユーティリティの項目にはEEPROMのリカバリーイメージしかありません。これはRaspberry Pi 4にある起動用のフラッシュROMが破損した場合に使用するものです。
microSDカードへOSを入れても起動しない場合は、破損している場合もあります。あまりお世話になりたくないですね。
今後は別のユーティリティ系も追加されるかも知れません。
フォーマット(Erase)
Eraseとあるのは、フォーマッターです。これでmicroSDカードのフォーマットすら、このRaspberry Pi Imagerで事足りることになります。
使い方は、Eraseを選んでmicroSDカードの場所を指定して、実行することは他のOSを書き込むのと同じです。

ただ、個人的な観測では、上手く機能しないことが多々ありまして、私個人的にはまだ完全に信用できていません・・・。
これはmacOS版に限った話かも知れません。
ご存じのない方に改めてお伝えします。
64GB以上のmicroSDカードをFAT32形式でフォーマットすることは、現行のWindows標準では対応していません。
Windowsの場合はフリーウェアやHDDメーカー製のソフトウェアで可能です。
macOSは32GBまではFAT形式を選択すれば可能です。(→Macで64GB以上のFAT32フォーマットはディスクユーティリティでFAT形式を選び空き容量の拡張でイケる)
このRaspberry Pi Imagerなら1つで、OSイメージを裏側でダウンロードしながら書き込み、そしてフォーマットもできるので便利です。
カスタマイズ

このメニューにある以外のOSを書き込むために利用するのがカスタマイズ項目です。

このように.img、.zip、.gz、.xzの圧縮形式に対応しています。
ただ、これは全てのOSが上手く書き込まれる保証はありません。現時点ではあまり有効に働いていないように思います。
私はmacOSユーザーということもあり、この辺は専らEtcherで済ませてしまっています。
簡単になったmicroSDカードへの書き込み
これまでの経緯を考えれば、OSをmicroSDカードへ書き込むのに、専門的な知識は必要なくなってきています。
ラズパイでいえば、Raspberry Pi Imagerを使いセットアップが開始できるので、非常に単純で簡単です。3ステップで完了ですからね。
もちろん、これまで通りにイメージファイルをダウンロードして、それを書き込む方法は変わりません。
先ずはRaspberry Pi Imagerに登録されているOSを気軽に書き込んでみてください。
この記事のコメント(承認後に公開)