Raspberry Pi は安いと聞いたけれど、実際はいくらで使えるの? こういう素朴な疑問は皆さんがお持ちでしょう。デスクトップやノートパソコン、タブレット端末などと比較して安いわけですが、それら一般的なパソコンと決して同じではありません。
Raspberry PiはPC基板ということからご理解いただけるように、決して万人受けするわけではありません。パソコンの自作に近い感覚になります。何かしたい!という人にはうってつけなんです。
Raspberry Pi 本体だけ購入しても何もできません。必要な部品があります。
少なくても電源アダプターは必要ですし、モニターに繋ぐのであればHDMIケーブル(Raspberry Pi 4/400ならmicroHDMI)も必要です。
マウスやキーボードといった入力機器は既にお持ちのもので代用もできるので必須ではありません。本体を収納するケースはできれば欲しいですね。
必要な物と価格帯、オススメの製品を並べてみます。
Raspberry Pi 基本のハード構成
Raspberry Pi のセット品で買うなら、ここに挙げている部品は必要なく手間はありません。
Raspberry Pi 本体
Raspberry Piの本体は基板だけです。これでは動作しません。必要な物を揃える必要があります。

まさに基板だけしかありません。注意書きの書類とこれだけです。
Raspberry Piはナンバリングで大きい数字が最新です。(Raspberry Pi 3B+ → Raspberry Pi 4B)
2021年からRaspberry Pi 4やキーボード一体型のRaspberry Pi 400があります。

他のモデルも存在します。4の前モデルRaspberry Pi 3B+、基板のサイズが小さいRaspberry Pi Zero系があります。
これから始める人は、ナンバリングされた数字が大きい最新機種で考えてください。

- PCライクに使いたいならRaspberry Pi 400
- 王道ならRaspberry Pi 4
Raspberry Pi 4 / 400
9,000円〜12,000円
- Raspberry Pi 4 は搭載メモリー量が異なります。(2GB・4GB・8GB)標準の4GBを想定
ACアダプター
Raspberry Piで使用する電源アダプターは、少し注意が必要です。推奨されるアンペア数が決まっています。Raspberry Pi 4は5V3Aが必要です。
よく、Androidスマホの充電器で代用しようと考えている方も多いと思います。スマホ用だと1Aしかない場合がほとんどで、タブレットだとしても2Aがせいぜいです。
”PSE認証 5V 3A”の記載を確かめてください。
Raspberry Pi Zero系ならば1Aでも大丈夫です。Raspberry Pi 3B+なら2.5A、Raspberry Pi 4Bなら3Aです。(すべて5V)
現在だと専用のアダプターではなく、充電器である電源コアにUSBケーブルを繋いで利用します。Raspberry Pi 4でも3B+でもZeroでもイケるので、スマホなどと共用できて重宝です。
もう1つ、Raspberry Pi 4は電源のコネクタはUSB3.1になりました。
コンセントに繋ぐ充電コアがノーマルのUSB端子なら、USB3.1 to USBのケーブルが必要です。電源コアもUSB3.1の製品が増えてきましたから、その場合は普通のUSB3.1ケーブルが使えます。
- USB充電器+USBケーブル
2,000円〜4,000円

microSDカード
WindowsでいうところのOSをインストールするのに、Raspberry Piの場合は基本がmicroSDカードです。HDDではありません。
メモリーカードというのは相性問題が多い製品のひとつです。公式に確認が取れていたメーカーであっても、個体差で不具合もあります。
分かりにくいですが、目安となるのは価格です。あまり安すぎるのは、経験からいって不具合に遭うことも多いと思います。
また、メモリーカードというのは、株の相場のように短期間で価格が上下します。
容量にも依ります。Raspberry Pi OS はFAT32でフォーマットする関係から最低32GBは欲しいところです。
もう一つ重要なのが速度です。
現在、主流のClass10 (最大転送速度40MB/s)に対応し、そう記載がある物を選ぶと良いでしょう。パッケージに記載が無い物は避けてください。
メーカーで有名なのは、SanDisk、Transcendなどです。
microSDカードやSSDのような製品は、容量の多さよりも読み書きの速さが大事です。耐久性は永久どころか比較的に短い製品です。データの書き換えに限界があるからです。
安い物で1,000回〜3,000回、かなり高い産業用途でも5万回といった具合です。消耗品と割り切りましょう。
- SanDisk(サンディスク)製 32GB〜
1,500円〜2,500円(※64GB)


HDMIケーブル
Raspberry Piも一般的なパソコンのように、HDMIケーブルでPC用モニターに繋いで使用することができます。しかもRaspberry Pi 4なら4K出力が2つも可能です。
HDMIコネクタの形状がモデルによっては通常と異なるので注意が必要です。
- Raspberry Pi 4:microHDMI to HDMI(マイクロ)
- Raspberry Pi 3B/3B+ (スタンダード)
- Raspberry Pi Zero系:miniHDMI to HDMI(ミニ)

変換コネクタも販売していますが、あまりオススメできません。
- 変換アダプターを使わないHDMIケーブル
800円〜1,200円
Raspberry Pi 4Bなら、端子部分の大きさも考慮しないと、デュアルディスプレイにする際に干渉してしまいます。気をつけましょう。

モニター
Raspberry PiにはHATといって拡張基板を接続することができます。小型の液晶ディスプレイもGPIO端子経由で使うことができます。但し、一般的なモニターとは異なります。ドライバが必要です。繋げれば動作するわけではありません。
PCライクに使いたいなら、HDMIケーブルで繋ぐモニターが良いでしょう。これなら一般的モニターと同じです。Raspberry Pi 4なら4Kモニターに対応しています。(デュアルモニター可)
少しケーブルの取り回しが気になるものの、モバイルモニターがRaspberry Piのサイズ感に合っていました。
一般的なPCモニターなら、フルHD画質でも2万円前後です。Raspberry Piにはちょうど良いでしょう。
- モバイルモニター
- 通常のPC用モニター
20,000円〜40,000円


マウス・キーボード
学習を兼ねるなら専用のマウスとキーボードを用意しても良いと思います。
何かの仕組みで運用する場合は、マウスなどの入力機器は最後は取り外すと思いますので、最低限として1組分を用意しておけば使い回せるでしょう。
購入するなら、せっかくRaspberry Piが場所を取らない大きさなので、キーボードも省スペースサイズがオススメです。
Bluetooth接続はあまりオススメしません。
OS側も設定しないとなりませんから、起動後は良いとしても初めてのセットアップには向かないでしょう。
——Raspberry Pi OSがBullseyeになり、セットアップウィザードも改善されたうえ、最新のBullseyeでは自動ペアリング機能が備わったため、そこまでの懸念はなくなりました。
USBドングルを使うWi-Fi形式は大丈夫です。有線式となんら変わらずに使えます。
- 余っているキーボード&マウスでOK
- 有線ケーブルかWi-Fi形式なら安価で確実に繋がる
1,000円〜
USB有線ケーブルなら安価で確実に繋がるのでオススメです。テンキーレス、86キーならとても省スペースの部類になります。

収納するケース

基板が剥き出しなのは心配だと思います。特に埃が積もります。静電気が怖いですね。
Raspberry Pi用に収納するケースは数多く販売されています。好きな物を選んで構わないです。ただ、Raspberry Piのモデルによって形状が異なりますので、対応品の確認はしてください。
価格は手頃な数百円〜2000円台が多いです。放熱性が高いアルミ合金製か、冷却ファンの付いた樹脂製か悩ましいところです。
セット品を購入すればケースも付いているので心配は要りません。
Raspberry Pi 400なら、ケースとキーボードを兼ねた一体型なので、これも心配要りません。見た目よりも放熱性も高いのですよ。

ケース自体を3Dプリンタなどで自作するのも楽しそうですね。
- アルミ合金製
- 冷却ファン付き
- Raspberry Pi 400はケースが不要
2,000円前後〜
Raspberry Pi 400は12,000円前後

価格は高騰中
私がRaspberry Piを始めた当時、セット製品はほとんどありませんでした。最初はセット商品の方が余計な心配も要らずに済みます。ただ、価格が高騰しています。
Raspberry Pi 400は、比較的に流通していて価格的にも手に入りやすい製品となりました。
2020年〜2022年は、コロナ禍の影響もあり、以前ほどRaspberry Piは思うように手に入らない状態です。
販売価格も公式に値上がっています。更に為替レートの影響もあります。供給が足りずに数が確保できないため希少価値も出ています。何よりも半導体不足です。
性能もあがりましたから、一時期のように1万円以下で始められる製品ではなくなっています。日本では少し残念な状況です。
いずれ生産と流通が戻れば、2万円以下で一式が揃うようになるでしょう。今後に期待ですね。
以上、Raspberry Pi を始めるに必要な部品と価格でした。