Raspberry Pi でAmazonプライム・ビデオを視聴することができることはラズパイダでも記事にしてきました。LibreELECに有志が作ったプラグインを導入して実現させています。これはWideVineというライブラリが影響しています。
bullseyeにOSがバージョンアップしてから試したところ、通常のデスクトップ環境のChromium(GoogleChromeの元)でも再生できました。
何もせず最初からは再生できません。しかし、手順は簡単で3手順で済んでしまいます!
Chromiumのバージョンの関係もあり、busterの時点では確実に再生できなかった記憶があります。あくまでも記事執筆時点とはいえ、以外とスンナリと再生できたのでお伝えします。
この方法なら、Webブラウザで視聴する関係で、Netflixなど他の動画配信サービスの動画も再生が可能になります。
はじめにWideVineの問題
Amazonプライム・ビデオやNetflixは、会員向けに動画を公開しているビデオオンデマンドの仕組みです。有料なので、DRMという保護が掛かっていて、会員としてログインすることで再生が可能になります。
知っている人は知っていることに、このDRMを会員向けに解除させる機能としてWideVineが使われています。
Amazonプライム・ビデオに限らず、VODのサービスで正式に対応しているブラウザの中に、オープンソースのChromiumは入っていません。GoogleChromeは入っていますが、GoogleChromeはRaspberry Piにインストールができません。
GoogleChromeの中身は、元となったChromiumとほぼ同じなのですが、バージョンによって影響を受けたりもします。更にWebブラウザと共にWideVineが機能していないとなりません。
結論から言うと、対応するChromiumブラウザで、WideVineのライブリさえあれば再生できるということです。
再生させるには3手順が必要
Raspberry Pi OS bullseyeがインストールされた現在(記事執筆時点)のChromiumはデフォルトのウェブブラウザに設定されています。
そのバージョンは92.0.4515.98でした。

手順1:Widevineのライブラリをインストールする
WideVineはコマンドでインストールします。bullseyeではaptコマンドでスンナリとインストールできました。
sudo apt install libwidevinecdm0
しかし、これだけでは、再生させるとRaspberry Piがフリーズ!
Chromiumが対応していない?
手順2:カスタマイズアドオンを削除
分かりやすくAdd/Remove SoftwareからChromiumで検索をかけてみると、Raspberry Pi用として特別に修正されたChromiumアドオンパッケージがインストールされていました。

実は、これを削除(アンインストール)することが必要になります。
チェックを外してから適用で削除するだけです。
どうやら、このパッケージが影響していたようです。
手順3:再起動して有効
手順1と2のインストールと削除を実行後、再起動しておきましょう。
これで完了です。
WideVineの確認
ChromiumブラウザのURL欄に chrome://components
と入力することで、一覧が表示されます。この中にWideVine Content Decyption Moduleが存在していれば、DRMの動画が再生可能となります。
(ただ、WideVineのライブラリをインストールする前から項目はあった)

バージョンが0というのは意味が分かりません…。これで再生できました。

試したのはPi 400上で、メモリーが4GBしかありませんが、コケること無く再生できました。1本観たわけではないので、途中にどうなるのかまだ分かりません。
ブラウザ(動画)のサイズが小さいのはキャプチャ画像を撮るためと、あまり大きいと遅くなるのではないかと懸念したからです。
LibreELECと違い、キオスクモードではないため、データ量が多い動きの激しいシーンなどが続いたらどうなのか分かりません。(デスクトップ環境の描画もありますからね)
試した感じでは、全く問題なく再生できました!
これで、LibreELECをインストールせず、リビングのTVに繋いだRaspberry Pi 4/400にRaspberry Pi OSを入れ、PCライクに使ったりVOD動画の再生をさせたりと万能になりますね。特にお子さんの居る家庭には重宝するのではないでしょうか。
再生方法まとめ
もう一度手順をおさらい。
DRM保護されたVOD動画をChromiumブラウザで再生させるには次の3つを実行すれば再生できます。
- Raspberry Pi 用にカスタマイズされたパッケージを削除
- コマンドでWideVineのライブラリをインストール
- 再起動する
sudo apt remove rpi-chromium-mods
sudo apt install libwidevinecdm0
sudo reboot
再起動して有効になりました。(ログオフ/オンは試していません)
Chromiumのバージョンが92系で可能でした。今後、バージョンアップが進んでいくと、これまで通り、WideVine側かChromium側が対応するまで再生できないときは訪れるでしょう。
busterなどの古いOSではなく、せっかくなのでbullseyeのバージョンで試してみてください。
検証してみた
お伝えした対応で再生できるのか検証してみました。
実はChromium関係は別にもインストールが可能になっています。ChromiumとChromium-browerと2種類あり、Chromiumの方はバージョンが古い90.4430.212-1がありました。

試したところ、この古いバージョンのChromiumではWideVineが有効になりませんでした。
Chromiumはコマンドでいうと2種類があります。
- sudo apt install chrome
- sudo apt install chrome-browser
browserの付いている方が最初からインストールされていたバージョン92でした。
ちょっと分かりにくいですね。

検証は、一旦、古いバージョン90をインストールして、その後に再度バージョン92をインストールしました。その間、auto removeコマンドで要らないChrome関係は削除してから実行しました。
すると、再度インストールした92の方に、最初にお伝えしたRaspberry Pi にカスタマイズされたパッケージは一緒にインストールされませんでした。
それで再生が可能になったのですが、当然ながらバージョンは最初と全く同じです。

このことから、再度microSDカードへbullseyeを新規で用意して再度試したところ、「Raspberry Pi-Specific mods to Chromium」をアンインストールして、WideVineのライブラリをインストールすれば再生できることが分かりました。
プリインストールされているChromiumは、Raspberry Pi用にカスタマイズが必要だからだと思うので、Webブラウザとして他の不具合が出るかも知れないことはご承知置きください。
今のところ、特に大きな不具合は目にしていません。でも、あるのでしょうね。きっと。
記事執筆時点の情報として、もしも間違いがあればコメント欄でご指摘ください。
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