以前にもご紹介した「Endless OS」がアルファ版から正式版になっていたようなので、改めてRaspberry Pi にインストールしてみました。
Endless OSの動作する要件は次の通りです。Raspberry Pi用のイメージとしてダウンロードできます。
- CPU:64-bit Intel またはAMD、VIAの互換プロセッサーを搭載したPC
- 必要メモリー:2GB以上を推奨(ラズパイは2GB、4GBモデル)
- 必要な空きスペース:フルバージョン用に少なくとも32GBの容量が必要
- GPU:Intel統合グラフィックスに対応。AMDグラフィックスはOSSドライバー対応。Nvidia GPUの場合、独自のNvidiaドライバーが自動的にインストールされます。(但し、Nvidia Optimus Dual-GPUは動作しない)
サポートしていないデバイス
スマートカードとスマートカードリーダー
https://support.endlessm.com/hc/en-us/articles/210526863-Will-Endless-OS-work-with-my-computer-
指紋スキャナー
内蔵ダイヤルアップモデム
拡張ポート:シリアル/パラレルポートデバイス
Asusテンキー
Asusスクリーンパッド
今回の環境
今回は「arm64-rpi4.200609-195239.base.img.xz」でver.3.8.3をインストールしました。(前回はアルファ版で2020/1/23、ver3.7でした)
ダウンロードサイズは2.47GB、書き込みサイズは9.2GBでした。
Raspberry Pi 4のメモリー4GBモデルでどこまで快適に使えるかも検証してみました。
なお、8GBモデルは起動できませんでした。
2GB RAMまたは4GB RAMを備えたRaspberry Pi 4モデルBが必要です。
https://support.endlessm.com/hc/en-us/articles/360039665771-How-to-install-Endless-OS-on-RPI-
起動と速度
OSの初期起動は、設定のウィザードが出ます。少し時間はかかります。速いかと言われれば、そうでもなく、遅いとも言えません。許容範囲です。
アプリケーションの起動も許容範囲です。サクサクとはいきませんが、一旦立ち上がれば遅いとは感じません。むしろ快適です。
日本語の変換もスムーズで、気になるレベルではありません。
使い勝手と安定感

見た目通り、タブレット端末のように、タッチディスプレイで使うことを前提にもしているため、デスクトップでは違和感があります。
デスクトップ画面全体がランチャーだと思ってください。
クラッシュするようなケースはほぼありませんでした。現在のバージョンでも安定感はあります。
同じラズパイにインストールしたUbuntuMATEと比較すると、動きはややモッサリした感があります。
インターフェイスは慣れが必要です。タブレットを普段から使っている人には違和感は薄いでしょう。タッチディスプレイを繋いだラズパイには最適です。
デスクトップPCとして使うにも、アプリケーションのインストールが簡単なのと、日本語化されているので初心者にオススメの操作感です。

Chrome拡張機能が最初からいくつか入っていました。開くと「Exploration center」なる拡張機能でスタートページが表示されます。
発見、探査、という意味です。昔、Windows環境でも似たような機能がありました。

アプリケーションも安定動作
最初からプリインストールされているソフトには、LibreOfficeをはじめ、基本的なアプリケーションが選ばれています。
Linuxに馴染みの無い方に、どのようなアプリケーションか名前だけでは検討が付かないでしょう。
その点は配慮されていて、Photoとアプリケーションを立ち上げると中身はShotwellのように、一部は実際のアプリケーション名ではない表現になっています。


Shotwellはgnome環境やUbuntuでは有名なアプリケーションです。EndlessOSがUbuntu由来だからです。

設定は右下のユーザーアイコンから辿ります。
設定から各アプリケーションの通知設定なども行えます。分かりにくいかも知れませんが、操作系のユーザーインターフェイスは上手くまとまっていると感じました。
日本語の設定も選ぶだけ
マルチランゲージのイメージをダウンロードしたので、日本語にも対応しています。
これは嬉しいですね。
日本語を選ぶだけです。表示は元より、日本語入力も全く問題無く行えました。一部が英語のままということもほとんど見受けられません。これは有り難いですね。
文字の表示も少し太字で読みやすいと思いました。
インプットメソッド付きで選ぶ
一点だけ注意が必要で、選ぶ言語は日本語でも、いくつか種類があります。

インプットメソッドAnthyとある日本語を選びましょう。
全ては試していませんが、少なくても通常の日本語キーボードであれば、インプットメソッド付きで選ぶ必要がありました。
ただの日本語と表記されているのを選ぶと、キー配列は同じなのに日本語入力ができませんでした。
慣れている人は、端末のコマンドを利用し、Mozcなどを追加インストールしても良いでしょう。この辺はUbuntuやRaspberry Pi OSと変わりません。

MSのOfficeと互換性のあるLibreOfficeが入っています。日本語表記も問題なく直ぐに使えます。ちなみに上の画像はテキストエディタです。
不具合も
使用してみた中で不具合と思われる事柄がいくつかありましたので記しておきます。
シャットダウンで固まるかも?
シャットダウンが行えないことがありました。省電力設定が関係しているか判断つきませんが、画面復帰後にメニューから電源を切るでシャットダウンしても画面はそのままフリーズしました。
この時、終了のシーケンスが動いているのかどうかも分かりませんでした。
CPU使用率が高い
何もしていないアイドル時にCPUの使用率が高いので、多少のモッサリ感が残ります。
原因の1つは、自動アップデートがデフォルトではONになっているためです。
自動アップデートは止めた方がいいかも知れない。
一度、自動アップデートを止めたら、70〜80%の使用率が30〜40%に落ちました。それでも高い数値なので、アレコレと動いているように見受けられます。
リソースで確認してみると、それ程多くはありませんでしたが、グラフではしっかりと使用している表示になっています。
メモリーは4GBなら余裕
メモリーも常時1.1GB〜1.3GBを利用している感じです。スワップはありません。
この辺も詳しくは分かりませんが、リッチなデスクトップ画面の分、メモリー消費はUbuntuMATEやLubuntuと比べても多そうですね。
それでもRaspberry Pi 4の4GBモデルなら、メモリーの空きが3GBもあるので、通常の使用では問題ありません。

はじめてのLinux向け
microSDカードへ書き込めばスグに使える点で、UbuntuMATEよりも手軽です。コマンドは一つも必要なく起動します。
日本語環境はむしろRaspberry Pi OSよりも対応しています。同じDebianの派生なのでRaspberry Pi OSももっと頑張って欲しいと思いました。
今回のバージョンでは実用レベルになっています。
Raspberry Pi 4をデスクトップライクに使うOSとして、Ubuntuよりもお手軽に感じます。候補として有り得ると思いました。
毎月のようにアップデートしているので、しばらく追っかけてみたいと思えるEndless OSでした。